薬局薬剤師と病院薬剤師の違い

病院薬剤師が主役の某テレビドラマが先月末に完結したのは記憶に新しいと思います。

私も薬剤師の端くれですから、もちろん気になって見ていましたが。



病院薬剤師は、薬局薬剤師とは決定的に違う点が一つあります。

院内薬局は法律上の「調剤薬局」ではない、病院薬剤師は点滴薬の調剤がある、など色々ありますが…




一番の違いは、「病院薬剤師は患者様のカルテを開ける」こと!

当たり前では?と思うかもしれませんが、薬局薬剤師では病院のカルテは開けません。
病院と薬局で情報を共有しているわけではないからです。


なので処方内容が変更になった場合、私たち薬局薬剤師は患者様のお話から変更理由を推測するしかありません。

病院で話をしたのにどうしてまた薬局で話をしないといけないんだ?と仰る患者様もいらっしゃいます。
ですが、患者様のライフスタイルに合わせて飲み方や副作用をお伝えしたり、処方箋の記載不備に気付いたりするためには、どうしても情報が必要なのです。

私たち薬剤師は、患者様に正しく安全にお薬を使っていただけるようにすることが使命です。
ご面倒かもしれませんが、ご協力頂ければ幸いです。




じゃあ調剤薬局を全部無くして院内薬局にすれば?という声もあります。
お気持ちは分からないでもないですが…



院内薬局には「あらかじめ決められた薬しか取り扱えない」という隠れた欠点があります。
取り扱いが無いのでお取り寄せしてご用意、ということがシステム上難しいのです。

院内薬局で新しい薬を採用する場合、薬事委員会という部署に申請をして、そこでの審議により採用・不採用が決まるというのが一般的な流れ。
今朝発注したので夕方にはご用意できますー、という調剤薬局のようにはいきません。

また、調剤方法は病院の決まりに従うので、患者様に合わせて分包紙にラインを引いたり、薬袋をご希望に沿うように分けたり…という事も基本的にできません。というかそんな事やっている暇はありません。




とはいえ調剤薬局には調剤薬局の、院内薬局には院内薬局の良いところがあります。

カルテなどから検査値を定期的に知る事が出来、それに合わせた適切な処方量の計算などは院内薬局の方が確かに優れています。




どちらが良いか、ではなく、病院と薬局がそれぞれの持ち味を生かしていくことが大切です。

病院から退院した患者様の薬を調剤薬局にスムーズに引き継ぐには、病院と薬局の連携が不可欠。
これは病院薬剤師と薬局薬剤師が連携することから「薬-薬連携」ともいわれています。

特に今は退院してからそのまま在宅医療へ進むことも多いため、この連携が非常に重要です。


全ては患者様のために。
私たちは薬局内外のあらゆる医療スタッフと連携して今日も働いています。



星野



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