エネルギー代謝編

【エネルギー代謝編】
人間は食べ物をエネルギーに変えて生きている。
人の体の中では、毎日摂取した食べ物がごく当たり前に「エネ
ルギー」へと変換されています。万一、この食べ物がエネルギー
へと変換されるというシステムがなかったら、人間は生きていく
ことができません。人間は、体温を保つことにより生活できる
動物です。なお、内臓や酵素・免疫を働かせて体の機能を維持
しています。
加齢により一日の必要エネルギーはどんどん減ってくる?
「10年前と同じ量しか食べてないのに、最近太りやすくなった。」これは良く聞く話です。人間は、年をとるに従って一日の必要カロリーが低下してくるからです。それでいて、以前と同量の食事を続けていれば、明らかに体脂肪が蓄積していきます。体内の機能を維持して、人が最低限生活できるため必要なエネルギーを「基礎代謝」といいます。この「基礎代謝」が加齢とともに低下していくことは善か?悪か?といえば、明らかに「悪」といえるでしょう。エネルギーの節約という面からのみ考えれば、体内の基礎代謝が低いほうが有利に思えます。しかし、内蔵機能、免疫機能、酵素機能が一緒に低下していくために、相乗効果にて「老化」が進んでしまうからです。なお、これらの機能が低下していくことにより、「ガン」などの病気が発生しやすくなることも考えられます。
体内で産生されたエネルギーはどこで使われる?
体内で食物から得られたエネルギーの6~7割は、前述の「基礎代謝」というものに使われます。これは人間が生存するために最低限必要なエネルギーとなります。また、基礎代謝の中で一番エネルギーが使われる場所は「体温維持」で、その他、内臓、酵素、免疫などを働かせる場合にも使用されています。基礎代謝の大部分を占めている「体温」が一度違うだけでも、全体カロリーは大きく異なってきます。平均の大人で、 
体温が一度違いにて一年間同じものを食べていたとすると、体重が約8kgも違ってくると言われています。なお、あとの3~4割は、運動エネルギーといって、体を動かすことにより、体内エネルギーを使用しています。人間は加齢により、体温が低下し、運動量も少なくなるので、カロリーを徐々に減らしていく必要があります。
基本の基礎代謝編
基礎代謝は後天的環境に、以下の因子により差が出てきます。
年齢による基礎代謝量
生後、次第に増加します。体重1kg当たりの基礎代謝量は、1歳~2歳で最高となり、少しずつ減少し、20歳前後以降減少の度合いは小さくなります。初老期には基礎代謝量は少なくなります。
性別による基礎代謝量
同年齢では女子の方が基礎代謝量は低くなります。これは女子は脂肪組織が多いためと考えられます。妊婦の場合は妊娠後半に約20%の基礎代謝量増加を示します。
気温による基礎代謝量
基礎代謝量は夏が低く、冬は高くなります。気温が低いほど、体温を維持するために代謝は増加します。
発熱による基礎代謝量
体温が1℃上昇すると、代謝は約13%増加すると言われています。例えば、40℃の高熱の場合、正常体温より50%程度増加すると考えられます。
情緒による基礎代謝量
基礎代謝量は感動、恐怖、怒りで亢進し、落胆して意気消沈
した時は低下します。よく「ストレス太り」という言葉を聞きますが、
これも、あながち間違っているとは限らないと思います。感情の
変化により、基礎代謝が低下する一例でしょう。また、うつ病の
患者さんは明らかに、低体温にて基礎代謝が低下している確率
が高いようです。
栄養状態による基礎代謝量
長期にわたる食物の摂取不足、食事が偏ったダイエットや無理なダイエット、栄養失調症などでは10%~30%低下します。現代人はこのパターンが非常に多く、高カロリー・低栄養素に起因する典型的な基礎代謝低下と言えます。
運動、環境による基礎代謝量
激しい肉体労働やスポーツをする人は、エネルギーを最も消費する筋肉量が多いため基礎代謝量は高くなります。糖の消費量は、人間の体の中の50%が筋肉で消費されています。また、普段、体の動きが悪い人は「エネルギー発散システム」が低下し、基礎代謝量もおちていきます。
食べ物のエネルギーはどのくらい?
食物中の炭水化物、脂質、たんぱく質が体内で発生するエネルギー量を測定すると1g当たり炭水化物:4kcal、脂質:9kcal、たんぱく質:4kcalになります。この値をアトウォーター係数または、カロリー換算係数と呼び、食品中の栄養素の含有量が分かれば、この値を用いてその食品中のエネルギー量を求めることが出来ます。また、食品成分表に表示される各食品中のエネルギー量も、それぞれ適切な係数を用いて算出された値です。尚、酒類のカロリーが高いのは、アルコールの熱燃焼が1g当たり7kcalとして計算されるためです。
必要エネルギーが人により異なる「生活強度」
生活強度という言葉をお聞きになられたことはあるでしょうか?同じ年齢、同じ体重、同じ食べ物(カロリー)の人でも、この「生活強度」という環境が異なれば、一日の消費カロリーが違ってくる指数のことを言います。たとえば、事務仕事にて一日デスクに座っていれば消費カロリーは少なく、道路工事など激しく肉体を使う場合は消費カロリーが多くなります。以下は、だいたいの目安となる生活強度指数です。
※摂取エネルギー目安を求める際に使用する数値
生活強度Ⅰ(低い)=25kcal
散歩、買物など比較的ゆっくりした1時間程度の歩行のほか大部分は座位での読書、勉強、談話、また座位や横になってのテレビ、音楽鑑賞などをしている場合。
生活強度Ⅱ(やや低い)=26~27kcal
通勤、仕事などで2時間程度の歩行や乗車接客、家事等立位での業務が比較的多いほか大部分は座位での事務、談話などをしている場合。
生活強度Ⅲ(適度)=28~29kcal
生活活動強度II(やや低い)の者が1日1時間程度は速歩やサイクリングなど比較的強い身体活動を行っている場合や、大部分は立位での作業であるが1時間程度は農作業、漁業などの比較的強い作業に従事している場合。
生活強度Ⅳ(高い)=30kcal
1日のうち1時間程度は激しいトレーニングや木材の運搬、農繁期の農耕作業などのような強い作業に従事している場合。
★現代人のほとんどが生活強度Ⅰ~Ⅱにあてはまると言われています。
自分の標準体重の求め方
身長(m)×身長(m)×22 となります。たとえば、身長170cmの人は
1.70×1.70×22=63.58kgが標準体重と計算できます。
適正カロリーの求め方(生活強度指数から考えて)
では上記の「生活強度」と「標準体重」より、自分の一日に必要なカロリーを計算してみましょう。
標準体重(kg)×生活強度(kcal)=適正体重における一日に必要なカロリーの目安
※上記例(身長170cm)の人の生活強度がⅡであった場合
63.58kg×26~27kcal=1653~1716kcalが必要カロリーとなります。その他、もっと細かく計算すれば、年齢・性別によりも左右されます。