「様子を見ましょう」って何?
薬剤師:「先生は何とおしゃってましたか?」
患者さん:「それが『様子を見ましょう』しか言ってくれないのよ~」
ちょっと物足りなさそうな表情の患者さんとの、こんなやり取り。
薬局では、よくある光景です。
なんでお医者さんはなぜこのセリフをよく使うのでしょうか?
どうも、このセリフの意図が十分に伝わっていないことが多いように感じています。
まず知っていただきたいのは、「様子を見る」と「何もしない」は違うということです。
「様子を見る」は言い方を変えると「経過観察」といいます。
「経過観察」は、たくさんの医療行為の選択肢の一つです
この「経過観察」とは、「新たに何か治療せずに様子を見るのがベスト」いう選択肢というわけです。
病気には、症状や検査に少ししか変化しか表れず、診断つきづらい段階がたくさんあります。
その段階なのに、効果が不確定かもしれない治療を加えると、症状や検査値は変化してしまい、ますます適切な診断から遠ざかることもあるのです。
お医者さんの「様子を見ましょう」は、
●何も新たな治療をせずに、数日や数週間、数カ月の一定期間をおいて、もう一度診察や検査をする必要がある
●何も新たに治療をせずに経過を見て、何らかの症状の変化があった段階でもう一度診察する必要がある
という選択肢を選んだ時のセリフということです。
だから「あの医者は、様子見るって何もしてくれなかったから他の医者に行く!」というのは、あまり上手いやり方ではないことが多いです。
だって、最初のお医者さんはせっかく始めた治療が中断することになってしまうし、また次のお医者さんも同じ選択肢を選ぶかもしれないのですから。
これって、風邪でもガンでも同じです。
僕らは、ちょっとした会話からこんなこともお話ししながら、仕事をしています。
たしかに自分が納得する医療を受けるのは大切なことですが、こういう視点も忘れないでくださいね。
ではでは、また。。。