男女ともに気をつけたい更年期障害

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更年期障害というと女性特有のものと思われがちですが、男性にも起こることがあります。女性の場合も男性の場合も、更年期障害に大きく関わっているのが性ホルモンの分泌量の変化です。年のせいと諦めずに、きちんと向き合い対処することが大切です。

女性の更年期障害の主な原因は女性ホルモンの急激な減少

日本女性の平均的な閉経年齢は50歳です。閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間が女性の更年期に当たります。この時期は卵巣の機能が低下し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に減少します。これにより、さまざまな症状が引き起こされます。

典型的な症状としては、ほてり、発汗、のぼせが挙げられます。ほかにも、肩こり、めまい、頭痛なども多く見られます。このような体の症状だけでなく、やる気が出ない、不安感、イライラ、気分の落ち込みといった心の症状を訴える人も少なくありません。

こうした症状があっても問題なく生活できる人がいる一方で、外出もできないくらい重くなる人もいます。日常生活に支障を来たす場合を更年期障害といいます。

更年期障害の症状を和らげる治療法として広く行われているのがエストロゲンを補うホルモン補充療法です。のぼせや発汗などは治療後1~2週間で効果が現れる人も多くいます。また、全身のバランスを整える漢方薬も有効です。

男性の更年期障害、症状が現れやすい時期はさまざま

男性の更年期障害は、男性ホルモンのテストステロンの低下によって起こります。ただし、エストロゲンと異なり、テストステロンの量や減り方には個人差が大きいため、更年期障害の症状が現れやすい時期はさまざまです。

主な症状としては、関節痛、筋肉痛、肥満、頻尿などの体の症状や、イライラ、不安感、不眠、気分の落ち込みなどの心の症状、勃起力の低下、性欲低下などの性機能の症状があります。

テストステロンの分泌量が著しく少なく症状が強い場合を更年期障害といい、テストステロン、あるいはテストステロンの分泌を促すhCGホルモンを補充するホルモン補充療法が行われます。また、テストステロンの分泌量があまり低下していない場合には、漢方薬が使われることもあります。

適度な運動や良質な睡眠などのセルフケアも心がけて

男女ともに更年期障害ではセルフケアも大切です。適度な運動をする、友人との会話を楽しむ、ストレスをためない、質のよい睡眠をとるなどを心がけましょう。

いずれにせよ、気になる症状が1カ月間続いたら、女性の場合は婦人科や更年期外来などを、男性の場合は泌尿器科を受診しましょう。近年では男性更年期外来を設けている医療機関もあります。

なお、更年期障害についてわからないことがあるときは薬剤師に気軽にご相談ください。
イラストレーション:堺直子