2022年に始まった新しい薬の受け取り方「リフィル処方せん」

薬局で相談しよう
「リフィル処方せん」が導入されて2年余り経ちますが、「名前は聞いたことはあるけれど、詳しいことはわからない」という人が少なくないようです。どんな処方せんかお伝えします。

慢性疾患などの患者に対し、医師が可能と判断した場合にのみ発行

リフィル処方せんは、医師が「この患者さんは慢性疾患などで症状が安定しているから、これぐらいの投薬期間で、これぐらいの回数であれば(上限は3回)、医療機関を受診せずに薬局で同じ薬を受け取っても大丈夫だろう」と判断した場合に発行されます。

リフィル処方せんができるまでは、必ず医師が患者を診察したうえで、決められた日数分しか処方できませんでした。そのため、例えば高血圧や糖尿病などの慢性疾患でいつも同じ薬を服用している人が、特に体調に変わりがなくても、処方してもらうためだけに医療機関を受診する必要がありました。こうした通院によるさまざまな負担の軽減を可能にした仕組みがリフィル処方せんです。

ただし、新薬や向精神薬など投薬量の限度が定められている薬や湿布薬は、リフィル処方せんの対象となりません。

1枚のリフィル処方せんを最大3回まで使用可能

リフィル処方せんを受け取ったら、通常の処方せんと同様に、交付日を含めて4日以内に薬局で調剤してもらいます。薬を受け取る際、リフィル処方せんが返却されます。その処方せんには医師が決めた1回あたりの投薬期間をもとに、2回目の調剤予定日が記入されています。2回目以降は、調剤予定日の前後7日以内に、返却されたリフィル処方せんを持って薬局に行き、調剤してもらいます。

例えば、投薬期間が30日で、3回のリフィル処方せんが発行されたとします。1回目の調剤が6月20日だとすると、2回目の調剤予定日は7月20日で、調剤可能期間は7月13~27日になります。2回目を7月16日に受け取ったとすると、3回目の調剤予定日は8月15日で、8月8~22日が調剤可能期間になります。

服薬中に気になる症状が出た場合は、必ず薬剤師に相談してください。必要に応じて、薬剤師が受診を勧めるとともに、処方医に情報提供を行います。

リフィル処方せんは使用回数が終わるまで保管

リフィル処方せんは2回目、3回目も使います。なくさないように大切に保管しましょう。なくした場合は、自費での再発行や再受診が必要になります。

リフィル処方せんの紛失が心配という人は、デジタルでやり取りする電子処方せんを利用するのもよいでしょう。対応できる医療機関には、「リフィル処方せん機能 対応施設」と大きく書かれたステッカーが目立つ場所に提示されています。利用したい場合は医師にその旨を伝えましょう。

リフィル処方せんの発行を希望する、もっと詳しく知りたいという場合は、薬局の薬剤師に気軽におたずねください。

※リフィル処方の可否の判断は最終的に医師が行います。
イラストレーション:堺直子