「風邪(薬)は万病の元」になることも

「風邪は万病の元」は昔からある言葉です。
風邪だからといって軽く考えて養生しなければ、他のいろいろな病気になるという事ですが、現在の医療から考えれば、もっと深い解釈の出来る言葉です。
 一般に「風邪を引いた」と言われる状態は「体がだるい、熱がある、のどが痛い、咳が出る、鼻水が出る、鼻が詰まる、頭が痛い、関節が痛い、寒気がする」などの症状があるときですが、これらが、実は風邪以外の重い病気のサインになっていることがあります。
また、その重い病気により免疫力が低下したために、風邪をひきやすい状態になっているということも考えられます。風邪薬はこれらの重要なサインを一時的に隠してしまいますので、長期にわたって飲み続けると元々の疾患を悪化させてしまう可能性が高く、非常に危険です。
また、一般にお薬によって発生する恐ろしい副作用のひとつ「スティーヴンス・ジョンソン症候群」も、初期はのどの痛み・発熱など風邪によく似た症状を呈することが知られています。万が一、何かの風邪薬を飲んで、スティーヴンス・ジョンソン症候群を発症した場合、その薬の効果が弱いと誤解して、同じ風邪薬をさらに重ねて飲んでしまう、という危険性もありますので、注意が必要です。
ですから、仕事や家事が忙しいとか、周りに心配かけたくない等という理由で、具合が悪いのに安易に風邪薬を連用して症状をごまかしてしまうのは、結局ご本人のためになりません。一般に売られている風邪薬は、あくまで一時的な症状を抑えるための物、むやみに連用すると、本来の薬としての意味が逆になってしまいます。
風邪薬を飲んでみて、それでも症状が長引いたり悪化したり他の症状が出るようなら、面倒がらずに早めに医師の診察を受けて下さい。また、周りにそういう方を見かけたら、受診を勧めてあげてください。