血液循環とお肌の乾燥

 急に冷え込んだり、少し暖かくなったりしながら、徐々に「冬」になってきています。
 気温が下がると空気が乾燥し、冷たい風が吹いてホコリっぽくなってきますね。お肌も乾燥してガサガサになり、手足が冷えて、しもやけやアカギレになったりします。

 お肌を乾燥させないためには、適度な水分と脂分が必要で、その分泌量にはかなり個人差があります。皮膚の血液循環を良くしないと、皮膚の新陳代謝が悪くなり、お肌が荒れ、やがては切れたり割れたりしてきます。


 皮膚の構造について、少しおさらいをしておきます。
皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織に分かれます。表皮には血管・神経がないので、切れても出血はしませんが、切れたり、やけどなどで皮がむけたりしたときに見えるピンク色の真皮には、血管と神経が張り巡らされていますから、触れると痛み、傷つくと出血します。表皮と真皮とは、卵のパッケージのような形の凹凸で密着しています。
 真皮のさらに下には皮下組織があり、ここに貯まった脂肪を皮下脂肪と言います(上図:gooヘルスケア 皮膚のつくりとはたらき - 人体図・図解・体の仕組み より引用)
 その皮下組織から「毛」が生えており、その毛穴の途中に脂腺から脂が、毛穴からにじみ出てきます。また、毛穴とは別なところにある汗腺(エクリン腺)から汗が分泌されます。表皮に排出された脂(以下皮脂)と汗は、古くなって角質化(乾燥)した表皮の細胞と混ざって皮膚を覆う「膜」を作ります。その膜を皮脂膜(又は酸味を帯びているので酸膜)と呼びます。皮脂膜は弱酸性なので、同じ弱酸性の乳液などは皮膚への刺激はすくないと言われています。


 さて、冬になり、空気が乾燥してくると皮膚も乾燥し、水分が奪われます。そうすると皮脂と汗と角質化した皮膚でできていた皮脂膜の構造が壊れ、表皮がもろくなって壊れて切れたり割れたりします。さらにむき出しになった真皮が乾燥すると、激しく痛み、出血します。

 では、お肌の乾燥を防ぐためにはどうすればよいのか?上の図を見ても分かるように、汗腺や脂腺は真皮中にある毛細血管から栄養を得て活動していますから、皮膚の血液循環を促進してやれば良いのです。
 自分の肌に合ったクリームを見つけ、表皮に脂分を供給しつつ、こまめにマッサージをすることが、最も有効なお肌ケアの方法です。血液循環を良くするためには、手足の指はもちろん、もっと太い血管からマッサージすることが大切です。つまり、手のひらや指などだけではなく、手首、腕、二の腕、腿、ふくらはぎなどのマッサージを怠らず繰り返す事が、指や全身の皮膚のうるおいにつながります。

 また、血液循環を良くし、全身の皮膚への栄養を充分にいきわたらせるということは、生活のリズムを守り、円滑に新陳代謝を行うということですから、睡眠はもちろん入浴・食事の時間帯も大切になってきます。ビタミン・脂肪・タンパク質・ミネラル・炭水化物などをバランスよく含んだ食事を心がけ、適度な運動と十分な睡眠をとれるよう努力することが、お肌を健全に保つ努力に直結しています。


 お肌の健康を保つためには、こまめな手入れだけでなく、バランス良い食事と睡眠と運動、ごく当たり前のことから始めるのがリーズナブルです。