風邪に似た恐ろしい副作用
お薬の副作用を2種類に分けることができます。
一つは、おくすりの作用や機序に関連するもの。もう一つはそのお薬固有の作用とは全く関係なく起こる物です。
作用に関連するものとしては、糖尿病のお薬が効きすぎて低血糖になったり、安定剤が効きすぎて体がだるくなったり、鎮痛解熱薬を空腹時に飲むと胃が痛くなるなどがあります。
そして、作用に関係なく起こる物にアレルギー性のものがあり、今回はその中の最も恐ろしい部類の副作用についてお伝えします。
おくすりのネット販売について、薬剤師会だけでなく、医師会も大反対していることは御存知でしょうか?その理由の一つに副作用の心配があります。
初期症状は風邪に似ているのに、死につながることもある恐ろしい副作用とはどのようなものでしょう?
ひとつはスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome、SJS)。皮膚粘膜眼症候群(ひふねんまくがんしょうこうぐん)ともいいます。
初期症状は発熱や咽頭痛で、風邪に似ていますが、体中の皮膚や粘膜に炎症が起こります。炎症と言っても重症の場合、赤くなる程度の物ではなく、やけどのように水泡ができ、破れてただれます。皮膚だけでなく、全身の粘膜でもこれが起こります。
お薬の副作用以外にもウイルスの感染、化学物質や食品添加物などで発症し、原因不明な場合もあります。
恐ろしいのは、風邪薬を服用してこの副作用が起こった場合、効果が弱いものと判断してさらに同じ薬を多めに飲んだり、別な風邪薬を服薬したりして、治療開始が遅くなり、取り返しがつかなくなる可能性がある事です。
そしてもうひとつ、SJSと良く似た副作用に中毒性表皮壊死症があります。この二つは同じものだという考え方もあり、やはり高熱と著しい皮膚のただれがあります。皮膚症状の範囲がSJSより広い、という説もあります。
この二つの副作用は、発症すれば早めに処置しないと生命に関わることがあり、また、目の粘膜の炎症の為、失明する可能性があります。
いずれも服用して2週間以内に発症することが多いですが、1か月以上経ってから発症することもあり、原因が特定しづらいため、そのこともこの副作用をさらに恐ろしい物にしています。
これらの恐ろしい副作用を少しでも避けるため、安易なネット販売による薬の購入は避け、また、不確かな自己判断をしないよう、おかしいなと感じたら早めに医師に診てもらうようにしましょう。