食物アレルギーについて

★アレルギー症状とは  

出現する部位や頻度、時間は人によって違います。また同じ患者でもいつも同じ症状が出るとは限りません。通常は摂取後2時間以内に出現しますが、2時間以上たってから出現するものもある。肌に触れて起こるものもあります。
① 皮膚症状
かゆみ、蕁麻疹、皮膚発赤、湿疹など。眼瞼や顔全体の浮腫など。
② 粘膜症状
口腔、口唇、舌の違和感や喉のかゆみ、イガイガ感、咽頭の違和感など。
眼の症状としては結膜充血、眼瞼浮腫、流涙など。
③ 呼吸器症状
鼻汁、鼻閉、くしゃみ、咳、胸部圧迫感、ぜんそく発作、呼吸困難など。
④ 消化器症状
腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便など。
⑤ 神経症状
不機嫌、イライラ感、不穏、活気の低下など。
⑥ 循環器症状
血圧低下、ショック状態
⑦ アナフィラキシー
生命に危険を与える過敏反応

これらの反応が出たら、速やかに思い当たる食品などの摂取を中止し、医療機関に受診してください!
アレルギーを起こさないためには、アレルギーの原因となるものを避けることです。
子供の場合は成長とともに耐性を持つようになり、アレルギー反応を起こさなくなることもありますが、治療には医師の指示のもと行ってください。



★食品に表示されているアレルギー 

えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生

アレルギーの原因となることが知られている食品のうち上記の7品目は、患者数の多さや症状の重さから、原材料として使った場合だけでなく、原材料を作るときに使った場合も、これらが使われたことがわかるよう必ず表示してあります。

あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

アレルギーの原因となることが知られている食品のうち上記の20品目は、上の7品目と同様に、これらが使われたことがわかるよう表示することが勧められています。

★表示のしかたはいろいろ

食品をつくるときに使われた原材料は、加工食品の表示のルールに従って表示されます。原材料の材料などは、必ずしも上の27品目の名前で表示されるとは限りません。
「卵」のかわりに「エッグ」と表示してあることがあります
27品目の食品が使われていても、上に示した名前が表示してあるとは限りません。例として「落花生」のかわりに「ピーナッツ」、「牛肉」のかわりに「ビーフ」などがあります。

アレルギーの原因となる食品を含むことがよく知られている加工食品が、原材料として表示してある場合、上に示したアレルギー食品の名前が表示されないことがあります。
例えば、原材料として「マヨネーズ」と表示してあれば、「卵」が表示されないことがあります。
気になる人は販売元などに問い合わせることが必要です。



★分かりづらいアレルギー食品物質 

乳化剤;
混ざりにくい2つ以上の液体(例えば油と水)を乳液状またはクリーム状(白濁)にするための添加物で乳化剤と呼ばれます。卵黄あるいは大豆のレシチンや牛脂などから作られます。化学的に合成されることもあります。牛乳から作られるものではないので、牛乳アレルギーの患者さんでも摂取できます。

乳酸カルシウム;
化学物質の名前であり「乳」とは関係ありません。

乳酸菌;
細菌の名前であり、これ自身には「乳」は含まれていません。しかし、乳酸菌で発酵した乳(発酵乳)は材料が乳であり、牛乳アレルギー患者は摂取できません。

乳糖(ラクトース);
乳糖は牛乳を原材料として作られているので微量ながら牛乳タンパク質が含まれています。乳糖でアレルギーを惹起する牛乳アレルギーの患者さんが稀ですがいます。「乳」の文字が含まれているため、「乳」の代替表記として認められています。

カゼイン、ホエイ;牛乳アレルギーの人は要注意。

カカオバター;
カカオ豆をローストした後、すりつぶして作られるカカオマスを圧搾してとった脂肪分。バターという単語が含まれていまが「乳」とは関係ありません。

デュラムセモリナ;
デュラムセモリナのデュラムは小麦の種類で、セモリナは「あら挽き」という意味です。パスタにぴったりの小麦粉で、パンや天ぷら粉に使われる小麦とは種類が違うものです。

卵殻カルシウム;
卵殻カルシウムには高温で処理された焼成カルシウムと高温処理されていない未焼成カルシウムとがあります。焼成カルシウムには卵のタンパク質が残留していないため、食品衛生法で卵の表示は不要とされています。一方、未焼成カルシウムは確認不十分のため、卵の表示がされています。しかし、卵殻未焼成カルシウムも卵のアレルゲンの混入がほとんど認められず、また、卵としてのアレルゲン性も低いという報告があります。

レシチン;鶏卵アレルギーの人は要注意。

加水分解タンパク質;
原料の蛋白質をペプチドからアミノ酸まで分解したもの。動物性の原料として牛、にわとり、豚、魚など、植物性の原料として大豆、小麦、コーンなどが使われます。

参考文献など
調剤と情報2013年11月号
農林水産省HP
日本アレルギー学会HP