応急処置

 家の中外に関わらず、救急の場に立ち会うことはあるかもしれません。そこで今回は簡単にですが、応急処置についての記事です。
応急処置をするかしないかで大きく変わってくるので、ぜひ覚えて頂きたいです。


★応急処置を行うにあたって、気をつけること

・救助者自身の安全を確保する。
・周囲の状況を観察し、二次事故(災害)の防止に努める。
・原則として医薬品を使用しない。
・あくまでも医師または救急隊などに引き継ぐまでの救命手当・応急手当にとどめる。
・必ず医師の診療を受けることをすすめる。
手当の全部を1人で完全に行うことは困難です。傷病者の救出、救命手当や応急手当、119番通報、AEDなどの資材の確保、搬送、群衆整理など協力を必要とすることが多くあります。


★状況の観察・傷病者の観察

状況の観察
 倒れている人(傷病者)を発見したら、まず周囲の状況をよく観察します。事故発生時の状況、事故の位置、二次事故(災害)の危険性、傷病の原因、証拠物などについて注意する必要があります。
とくに、周囲の状況が悪いときには、傷病者および救助者自身の安全を確保し、しかも十分な手当を行う為、安全な場所への避難を優先させる事もあります(例えば夜間の事故、交通事故、感電事故、崩壊した建物のそば、土砂くずれ、有毒ガスのあるところなど)。
また、二次事故(災害)の危険性があり傷病者に近づけないときは、無理せず、直ちに119番に通報します。

傷病者の観察
 手当を行う前には、傷病者の状態をよく調べなければなりません。よく見て、話しかけ、直接触れて生命の徴候(意識、呼吸、脈拍、顔色・皮膚の状態、手足の動き)を観察します。どんな場合でも、全身を観察する事が大切です。
特に、心肺蘇生が必要な意識障害、呼吸停止、心停止の 判断を下すために、• 意識はあるか • 呼吸をしているかなどを、よく調べます。


★傷病者の安静
環境の整備
 身体的かつ精神的な安静をはかることが大切です。そのためにも周囲の者はいたずらに騒ぎ立てないようにしましょう。また、できるだけ傷病者にきずや血液や吐物を見せないようにし、気持ちを動揺させないようにします。
救助者のしっかりした態度や言葉遣いが、傷病者を力づける大きな助けになることを心得ておきましょう。
体位…原則として水平に寝かせます

意識がある場合
 本人に聞いて最も楽な体位にします。顔色が青い時は足の方を、赤い時には上半身を少し高くします。腹痛のひどいときには腹筋の緊張を緩める体位をとらせます。

意識がない場合
 仰向けでは、のどに舌が落ち込んだり、嘔吐物がつまる可能性があるので、気道確保の保てる体位(回復体位)にします。

回復体位
下あごを前に出し、両肘を曲げ上側の膝を約90度曲げ、傷病者が後ろに倒れないようにします。この体位で舌根沈下や吐物による窒息を防ぐことができます。

保温
本人の体温を保つようにし、全身を毛布で包みます。ネクタイ、ベルトなど衣類をゆるめて呼吸を楽にさせますが、必要以上に衣類を脱がせてはなりません。周囲の温度や傷病者の状態を考えて保温します。濡れた衣類は取りかえるようにしますが、着替えるものがなければ衣類の上から保温します。
傷病者を直接地面や床の上に寝かせる場合、下からの冷えに対する配慮が必要です。新聞紙などを敷くだけでも断熱の効果があります。


運び方例

後ろから運ぶ
意識のない傷病者など、とりあえず危険な場所から安全な場所へ移すときに役立ちます。
傷病者の足を重ね、頭側から肩の下に手の平を上にして手を入れ上体を起こし、両わきの下から手を入れて、傷病者の臀部を床から上げるようにして引っ張ります。

★症状別対応

痙攣(ひきつけ)
 こどもは、脳をはじめとする神経系の発達が未熟であるため、けいれんを起こしやすく、特に熱性けいれんが多く見られます。
 てんかんもこどもに起こりやすく、このほか嘔吐や下痢などに伴う脱水、髄膜炎や脳炎、強い興奮、テレビの光刺激などによって起こる場合があります。
観察のポイント
• どのようなけいれんか。
からだが弓なりになり、手足を突っ張ります。
手足を伸ばしたり縮めたりして、がたがた震わせます。
頭をこっくりするようなしぐさをします。 など
• どのくらいの時間続いたか。
• たびたび起こったか。
• どのような状況で起こったか。
手当
• 衣服をゆるめ、楽に呼吸ができるようにします。
• けいれんを起こしている間は、強く揺さぶったり、無理に押さえつけたりしません。
• けいれんを起こしている間は、ベッドからの転落を防いだり、周りの玩具を遠ざけるなど、こどもの安全を確保します。
• 吐くときは、吐いたものが気管に入らないように、からだを横に向け、気道を確保します。
• けいれんが短時間で治まり、機嫌がよく、意識がしっかりしていれば、静かに休ませ、様子をみて受診します。
• 次のような場合には、119番通報し救急車で直ちに医療機関に搬送します。
けいれんが長時間続く。
けいれんが繰り返す。
けいれんが治まっても意識が戻らない。 など
※けいれんの発作中、歯の間に割り箸やタオルなどを入れると、舌や口内をきずつけたり、舌を奥に押し込み、呼吸困難を起こすことがあるので、してはいけません。

心臓発作
 心臓発作とは、冠動脈(心臓の筋肉を養う血管)に突然異常が起こり、狭心症や心筋梗塞が起きたり、ひどい不整脈が続いたりする異常で、いずれも生命に重大な危険がおよびます。
狭心症とは、冠動脈の血液の流れが悪くなったときに起こり、胸をしめつけるような痛みを生じます。心筋梗塞とは、冠動脈の一部の血液の流れが止まり、その部分の心筋に栄養や酸素が不足し心筋細胞が死んでいく(壊死)ことをいい、狭心症よりも痛みが強く長く続きます。一刻も早く専門医のいる医療機関で診療を受けさせます。
症状
• 痛みが、胸または胃の上の方から始まり、ときには頸の左側、左肩、左腕にかけて広がります。
• 顔色が蒼白になり、唇、皮膚、爪の色も青黒くなり(チアノーゼ)、冷や汗をかきます。
• 胸を押さえてうずくまるか、ばたっと倒れます。
• あえいだり呼吸困難になります。
• 強い痛みにより死に対する恐怖感を覚えます。
手当
• 直ちに119番通報します。
• 意識があるときには、座った姿勢をとらせて深呼吸をさせます。
• 傷病者が医師から服用を指示された薬を持ち、それを自分で服用できないときは介助します。
※狭心症などの患者がニトログリセリン錠の効果がない場合は、心筋梗塞が疑われます。
• 原則として飲食物は与えません。
• 全身を保温し観察を続けます。
• 意識を失ったら、一次救命処置の手順により手当を行います。


誤飲・誤食

たばこ
・まず吐かせます。口の中に残っている場合は拭い取ります。
・飲み込んだからといって水や牛乳を飲ませてはいけません。保温をして医療機関に行きます。

お薬
・口の中に残っている場合は取り除きます。
・水や牛乳を飲ませ、飲んだ医薬品や吐いた物は医師にみせるようにします。
マニキュア液・ガソリン・ナフタリン・灯油
・吐かせてはいけません。何も飲ませません。
・少量でも医療機関へ受信するようにします。
トイレ用洗剤・漂白剤
・牛乳・卵白を飲ませ、吐かせずに医療機関へ。

参照HP:日本赤十字社http://www.jrc.or.jp/