ポリオワクチン、9月から不活化に切り替えへ
接種スケジュールはDPT(3種混合ワクチン)と同様
予防接種実施規則などの改正を行い、9月1日からIPVを定期接種に導入するとした。IPVの接種間隔と標準的な接種年齢は、現在のジフテリア・百日咳・破傷風(DPT)3種混合ワクチンと同様とする。具体的には、初回接種として3~12カ月未満に20~56日の間隔を置いて3回接種し、追加接種として初回接種終了から12~18カ月未満に1回接種する。
9月以降、OPVを1回も接種していない小児は、原則としてIPVを4回接種することになる。なお、既にOPVを1回接種している小児は、IPVの初回接種を1回終えたものと見なし、追加接種も含めて残り3回はIPVを接種する。既にOPVの2回接種を終えている小児は、IPVの接種は不要。
2012年度末までのイモバックスポリオ皮下注の供給予定量は477万回分。2012年秋の接種対象者と、2011年にIPVの導入を待って接種を控えた対象者の需要量は367万回分。厚労省の試算では、今春に実施されているOPVの接種対象者の9割以上が接種を控えない限り、秋以降は対象者すべてのIPV接種が可能となる。
DPTと不活化ポリオの4種混合も承認間近
イモバックスポリオ皮下注以外にも、国内ではIPVの開発が進行中だ。阪大微生物病研究会は2011年12月に、化学及血清療法研究所は2012年1月に、IPVにDPTを加えた4種混合ワクチンを承認申請済み。これらの4種混合ワクチンは、順調に承認・発売されれば、12年11月にも定期接種に導入される見込みだ。いずれもIPVは、国内で製造された弱毒ポリオウイルス株由来のもので、イモバックスポリオ皮下注に使われているウイルス株とは異なる。
そのため23日に開かれた検討会では、4種混合ワクチン導入後の対応についても検討。4種混合ワクチンの接種間隔と標準的な接種年齢は、現在のDPT3種混合ワクチンと同様となる。導入後は、3種混合ワクチン、OPV、IPVのいずれも未接種の小児は、4種混合ワクチンを4回接種する。既に3種混合ワクチンの接種を始めている小児については、原則として単独のIPVを4回接種する。
今のところ、3種混合ワクチンや単独IPVを接種し、途中から4種混合ワクチンに切り替えた際に、別々に接種した場合と同様の効果が得られるかどうかは分かっていない。そのため、大阪市大公衆衛生学教授の廣田良夫氏を代表とする研究チームが現在、臨床試験を実施中だ。こうした研究で同様の効果が認められれば、途中から4種混合ワクチンへの切り替えも可能になる見込みだ。
なお、検討会では国内でポリオウイルスの野生株や変異したワクチン由来株の感染拡大などが想定される場合は、腸管免疫が付き、IPVよりも伝播抑制効果が高いとされているOPVを接種することも決まった。