BCG接種時期、生後1歳未満までに引き上げ
否定できないワクチンと副反応の関係
11月14日、厚労省は新生児のBCG接種時期を生後1歳未満までに引き上げる方針を決めた。
結核を予防するBCG。
日本では現在、接種の対象年齢は生後6か月未満までとされている。
これは早期接種による小児結核の予防効果を上げるためとして、2005年から引き下げられた。
それまでの接種対象年齢は4歳未満であった。
日本の小児結核は2005年まで毎年200例前後発生し、重篤かつ髄膜炎などの後遺症、粟粒結核の例など3~8例が見られていた。
2005年から対象年齢の引下げと定期接種化が決定され、接種率(目標:95%以上)は上がり年間の小児結核発病例数は100例以下に減少した。
しかし近年、BCG接種の副反応とされる骨炎や全身播種性BCG症が増加しており、特に生後4か月以内の接種例で増加していることが問題となっていた。
過去11年間の副反応報告件数によると、接種対象年齢が4歳未満であった頃は年間平均1.25件の報告数であったが、2005年以降は平均4.14件に上昇した。
多い時では2008年に9件、2011年に6件(暫定値)が報告されている。
リスクとメリットのバランスを考慮
この増加傾向と生後早期のBCG接種との関係が否定できないことから、厚労省では接種時期を生後1歳未満までに引き上げることが議論されていた。
懸念点は年齢引き上げによる小児結核の増加。これについてはBCG接種時期の引き延ばしを実施後、1~3年にかけて顕著にみられると想定されている。一方で、結核罹患ハザードは明瞭な減少傾向を示すこと、10年単位では減少に到ることが想定された。
検討の結果、BCGの法定接種期間は生後1年以内とすることが適当であること、また、生後5~8ヶ月の間を標準接種期間とすることが適当であると推奨された。
今後は関連する政省令を改正し、実施は来春に予定とのこと。
結核が流行している地域や患者がいる家庭では、推奨時期にとらわれず早めの接種を呼びかける
とされた。