レジオネラ症、昨年を上回る症例報告
最近、増加傾向にあるレジオネラ症が、今年は過去最多となった昨年を上回る症例が報告されています。
高齢者や新生児などが高リスク群であり、また、今月にピークを迎えることから、国立感染症研究所は「感染症週報」などで関係者に注意を喚起しています。
レジオネラ症は感染症法に基づき全数届け出が義務づけられています。
2010年以降、毎年報告数が増加しており、昨年は過去最多の1111例が報告されたが、今年に入り6月22日(25週)までに464例が報告されており、前年同期間報告数の328例を上回っています。
また、近年の年間発生動向を見ると、主に7月(第27~31週)にピークを迎えており、今年も5月後半から増加傾向を示しています。
*レジオネラ症とは?
レジオネラ症(legionellosis)は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症で、その病型は劇症型の肺炎と一過性のポンティアック熱がある。レジオネラ肺炎は1976年、米国フィラデルフィアにおける在郷軍人集会(Legion)で集団肺炎として発見されたところから、legionnaires' diseaseと命名された。
ポンティアック熱は、1968年に起こった米国ミシガン州Pontiacにおける集団感染事例にちなんで命名された。
レジオネラ属菌は、もともと土壌や水環境に普通に存在する菌である。
しかしながら、快適な生活や水資源の節約のため、エアロゾルを発生させる人工環境(噴水等の水景施設、ビル屋上に立つ冷却塔、ジャグジー、加湿器等)や循環水を利用した風呂が屋内外に多くなっていることなどが感染する機会を増やしているものと考えられる。
感染症法の施行以後、検査技術の進歩とあいまって、2013年には1,111例(暫定値)が報告された。病原体に曝露された誰しもが発症するわけではなく、細胞内寄生細菌であるため、細胞性免疫能の低下した場合に肺炎を発症しやすい。