内服薬と坐薬
痛み止めの飲み薬の副作用に胃腸障害があるのはよく知られていますよね。
では、同じ成分の坐薬ならどうなのでしょう?
例えば、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)の錠剤と坐薬を比較したときに、どちらのほうが胃腸障害の副作用が出やすいと思いますか?
なんとなく飲み薬のほうが胃腸障害が出やすくて、坐薬なら胃を通らないんだから大丈夫なんじゃない?と思われる方も少なくないと思います。
ここで痛みの仕組みを超簡単に。
怪我などで腫れたり炎症があるとプロスタグランジンという物質が産生されて、そのプロスタグランジンが痛みの刺激を増強します。
例えば膝をぶつけて痛めてしまった時、その部分に炎症があればそこからプロスタグランジンが産生されて、「膝に痛みがありますよ。気を付けてくださいね」という危険信号を脳に伝えやすくします。
上記のなどのNSAIDsといわれる鎮痛剤は、このプロスタグランジンという物質が作られるのを抑えることによって痛みを感じにくくする薬です。
飲み薬でも坐薬でも薬の作用は同じです。
と、言うことは副作用の危険性も同じなのでしょうか?
NSAIDsの副作用の一つである胃腸障害は、プロスタグランジンの生成を抑制する時に、炎症しているところだけで産生を抑制すれば良いのですが、同時に胃の粘膜を保護する時に産生されるプロスタグランジンも抑制してしまうため、胃腸障害が起こりやすいと言われています。
と、いうことは坐薬でも胃腸障害が起こる可能性があるんです。
坐薬は胃を通過しませんので、胃の粘膜に直接刺激を与えることはありません。なので、その分飲み薬よりは胃腸障害の副作用発現率が低くなるかもしれませんが、薬のメインの作用が関連する副作用としては、飲み薬でも坐薬でも同じなんです。
痛み止めには、NSAIDsだけでなくいろいろな種類があります。それぞれによって作用や副作用も違ってきますので、ご自分で服用されているお薬でわからないことがありましたら薬剤師に聞いてみてくださいね(^.^)