“子供と薬”通信(1)
~虫除けと虫さされ~
本年4月より幼保連携型認定こども園に学校薬剤師の配置が義務化されたことに伴い、Yこども園の学校薬剤師を務めている副島(そえじま)と申します。不定期ではありますが、こども園の職員や保護者の皆様へ “子供と薬”に関しての情報を発信していきたいと考えております。どうぞ、よろしくお願いします。今回は、これからの夏の時期に注意が必要な虫対策についての話です。こどもは、大人に比べて症状がひどくなることもあり、とびひにつながることもあるので注意が必要です。
まずは虫除けについての話です。昨夏は東京周辺でデング熱が流行したことからも、刺されないに越したことはありません。まずは、肌の露出を少なくすることが基本ですが、夏場はどうしても薄着になりますから、そういう時には虫除け剤を活用してください。市販の虫除け剤のほとんどは「ディート」を有効成分にしています。ディートは米国疾病対策センター(CDC)で有効性が証明され、米国環境保護庁(EPA)が認めた有効成分の一つです。日本では6ヶ月以上の小児への使用が認められており、米国小児科学会では2ヶ月以上の小児の使用を認めています。日本国内では10%以上のもの(最高で12%)が医薬品として、10%以下は医薬部外品として販売されています。ですから、効果を期待するのであれば医薬品の方がいいでしょう。ただし、こどもに使う場合には、濃度だけではなく、その使い勝手が重要になってきます。特に、エアゾール(スプレー)タイプは、薬剤を直接吸入する可能性が高いので、塗るタイプの製品を選択した方がいいでしょう。ティッシュタイプとかクリームタイプとかの製品もあります。口や目に入れないように注意して使用して下さい。
(ディートを含む薬剤の使用の目安)
6ヶ月以上2歳未満 1日1回
2歳以上12歳未満 1日1回~3回
ディートを含まない虫除け剤としてはレモンユーカリ油を用いた製品があり、蚊に対して低濃度のディートと同程度の効果があるようですが、安全性は不明で、米国CDCは3歳以下に使用しないように呼びかけているそうです。
蚊に刺された場合の対策としては、掻きむしらないことが大事です。私は、子供の虫さされに気付いたらすぐに市販のパッチ剤を貼ります。こどもの場合には、大人と違って、刺された直後よりも、翌日、翌々日にひどくなる事があるので、気付いたらすぐと言うのがポイントです。炎症を抑える効果は弱いので、翌日はどうしても腫れますが、傷が出来なければ段々腫れは引いてきます。指などパッチがうまく貼れない所には、ステロイドの外用剤(炎症を抑える薬)を塗った上に少し大きめの絆創膏を貼ります。こうすることで、塗り薬を長く患部にとどめることができ、掻きむしることも抑えられると考えています。ただし、掻きむしってキズが出来た所は止めて下さい。3日経っても良くならなければ、皮膚科や小児科で診てもらうのが無難です。
(参考資料)日経DI 2015年6月号 PE019