”子供と薬”通信(4)

~虫歯(う蝕(しょく))予防とフッ素の利用~
幼児期、学童期の虫歯は、年々減少傾向を示していますが、地域差、個人差が非常に大きくなっています。「平成26年度都道府県別12歳児虫歯の状況」1)によると、大分県は12歳児一人平均虫歯数が1.4本(沖縄、北海道、福井に次いでワースト4位;全国平均1.00本)、虫歯をもつ者の割合が48.3%(沖縄、北海道、福井、鹿児島、熊本に次いでワースト6位;全国平均39.65%)となっています。乳歯の虫歯と永久歯の虫歯には強い関連が認められるようなので、幼児期の虫歯予防も大切で、「乳歯はどうせ生え変わるから、虫歯になっても大丈夫」という考えは捨てた方がいいようです。虫歯の予防には、
① 虫歯を誘発する甘味飲食物の過剰摂取制限(おやつは1日2回まで)
② 歯口清掃による歯垢(デンタル・プラーク)の除去(保護者の仕上げ磨き)
③ 歯質の強化対策としてのフッ素の応用(フッ素洗口やフッ素歯面塗布)
が基本となり、これらは様々な介入研究等により虫歯抑制効果が示されています。
③に関して、フッ素を歯の表面に取り込ませると、歯が強くなって虫歯になりにくくなると言われます。フッ素による副作用を気にする意見もありますが、もともと自然の中にある元素のひとつで、虫歯予防で使用する範囲においては、その摂取量が限られており、フッ素症(フッ素の過剰摂取で、歯の表面にしみや斑点が出来たりする症状)のリスクはほとんどないと考えます2)。フッ素洗口は、杵築市内の小学校でも開始が計画されています。昨年、サントリーよりフッ素洗口剤「エフコート」も要指導医薬品として市販されました(ブクブクうがいが出来る4歳以上が対象です)。
フッ素の利用方法としては、フッ素洗口が最も効果的とされていますが、それ以外にも、歯科での歯科でのフッ素歯面塗布、フッ素配合歯磨き剤による歯磨きがあります。今回は、フッ素の虫歯予防効果をしっかりと引き出す「イエテボリ法」という磨き方をご紹介します。このイエテボリ法は、歯科先進国であるスウェーデンのイエテボリ大学で勧められている方法です。
①フッ素入りの歯磨き粉を、子供では0.5-1cm、たっぷりつけます。
②およそ2~3分間かけて歯をしっかりと磨きます。磨く時はやさしく細かく歯ブラシを動かして、ゴシゴシと強く磨かないように注意しましょう。
③歯磨き後のうがいは約10mlの水で30秒間ほど、ブクブクうがいをします。うがいはこの1回だけで、口の中には多少歯磨き粉が残った状態ですが、これで大丈夫です。
一度磨いた後、2時間は飲食を控えるようにしましょう。寝る前が効果的ですね。
歯ブラシはやわらかめ、歯磨き粉は後味の良い、泡が立ちすぎないものを使うといいでしょう。
1) 歯と口の健康づくり-大分県ホームページより
2) 厚生労働省ホームページ「e-ヘルスネット」より
3) 「学校におけるフッ化物洗口導入の手引き」(大分県教育委員会H27年12月作成)より