健康のための油選び

普段の料理に欠かせない「油」。スーパーにはさまざまな種類の「油」が出回っていますが、何を選びどう選んだらいいのか迷うことはないでしょうか。今回は、特にアレルギー性質の方や、外食・中食の多い方にお伝えしたい内容です。
食用油に含まれる脂肪酸は主に3種類(オレイン酸、リノール酸、α(アルファ)リノレン酸)で、油の種類によってその割合が異なります。この3種類のうち、リノール酸とαリノレン酸は、私たちの体内で作ることができず、食事から摂らなければならないので、「必須脂肪酸」と言われます。しかし、リノール酸の摂りすぎは、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状の悪化や、動脈硬化や心臓の病気などを誘発する可能性も指摘されています。リノール酸はマーガリンやマヨネーズ、加工食品に広く使われているため、現代人の食生活では摂りすぎる傾向にあると言われます。
一方、αリノレン酸はリノール酸の働きを抑える関係にあり、アレルギー症状を緩和するといわれています。また、αリノレン酸は、体内で代謝されることで、EPAやDHA(血液の流れをよくし、血管をしなやかにして動脈硬化を防ぐ働きがあるとされています)が作られることにもつながります。近年はEPAやDHAが多く含まれる魚を食べる機会が減ってきているため、意識的にリノール酸の摂取を控え、αリノレン酸を積極的に摂ることを心がける方がいいようです。
αリノレン酸を多く含む油の代表が「アマニ油」や「エゴマ油」です。αリノレン酸は加熱に弱いので、ドレッシングにしたり、料理や汁ものにかけたりするなどして、加熱せずに摂取する必要があります。加熱が必要な料理の場合には、リノール酸を多く含む「サフラワー(紅花)油」、「ひまわり油」、「綿実油」ではなく、リノール酸が少なめでオレイン酸が多めに含まれる「オリーブ油」や「キャノーラ(菜種)油」を選択する方がいいかもしれません。

管理薬剤師 副島