10月に行われます、日本薬剤師会学術大会(愛知)での発表抄録

宮崎県後期高齢者広域連合と(一社)宮崎県薬剤師会による重複・禁忌投与訪問事業での訪問薬剤師の評価
                    宮崎県薬剤師会 青木浩朗
【目的】
 2025年問題が近づく中、後期高齢者では他科受診も多くなり、重複・禁忌投与のリスクの増大による体調不良が予想されます。平成27年度は宮崎県後期高齢者広域連合と(一社)宮崎県薬剤師会では共同事業として薬剤師による重複・禁忌投与患者への訪問事業を行い、同行保健師の薬剤師に対する評価を行いました。
【方法】
 事業説明会を実施。参加希望薬剤師65名を登録。平成26年10月から平成27年3月に複数の医療機関で60日以上の重複・禁忌投与が認められる後期高齢者(入院患者・入所者・要介護・要支援を除く)のレセプトから対象者を業者にて選定、保健師に事業の参加の要請と薬剤師会では選定されたレセプトの中から訪問の必要性があるものを絞り、登録薬剤師を紐付けして保健師と同行での訪問指導を行った。訪問薬剤師は訪問終了後に報告書を提出。評価として後日に保健師に対して薬剤師訪問に対するアンケートを実施した。
 平成27年12月〜平成28年1月に訪問を行い、対象者に薬剤師から解決策の提案してもらい、本人が選択した結果を訪問薬剤師が上手に対応する事を基本方針としました。訪問後薬剤師は報告書を提出、保健師には後日薬剤師訪問に関するアンケートを実施致しました。
【結果】
訪問が行われた患者は17件、
重複・禁忌の認識のあった患者(10件/17訪問中)
同行保健師への薬剤師訪問に関するアンケートの回収(17件/17訪問中)
①薬剤師訪問は?
役に立った(17件)・どちらともない(0件)・役に立たなかった(0件)
②これからの薬の管理は?
薬剤師の訪問を希望(9件)・自分でできる(7件)
③このような薬剤師の訪問は?
必要(17件)・どちらも言えない(0件)・必要ない(0件)
 お薬手帳を薬局に持参していないことから重複や禁忌に保険薬局で十分なチェックがかかってないもの、他に原因は「医師への遠慮」など薬学的なもの以外にも見られた。
【考察】
今回の結果から、薬剤師による訪問による服薬指導により重複や禁忌を回避することは可能です。本人の承諾があれば医療機関への情報提供により危険回避がよりスムーズに進みます。保健師の意見には専門外のため、薬剤師と同行することで薬を見せてくれやすく、業務がしやすい意見が多かった。お互いの専門性を生かして今事業を継続の必要性を訴える内容が一致した意見でした。
【キーワード】
訪問 重複 禁忌 後期高齢者広域連合 かかりつけ薬剤師