薬膳100の話:なぜ「スペイン風邪」?

 第一次世界大戦のとき、1918年の春に100万人を超えるドイツ軍が、パリの陥落を狙いフランス軍に総攻撃をかけました。このときのドイツ軍の兵力はイギリスとフランスの連合国軍のなんと4倍でした。
 しかし、ドイツ軍の勝利は目前と思われていた時期に、突如現れたのが世界で感染者は6億人、死者は4000~5000万人に及んだ「スペインかぜ」だったのです。

 両陣営で、この新型インフルエンザは流行しましたが、ドイツ軍の被害のほうが甚大でした。おびただしい数の感染者が発生し、7月になると、ドイツ軍の進軍は完全にストップしてしまいます。多くの兵士が死亡していく間に、劣勢だった連合国軍にアメリカの援軍が到着。形勢は逆転し、11月にドイツが降伏し休戦条約が結ばれることになりました。

 
 ところで、なぜ「スペインかぜ」と呼ばれているのでしょうか?

 第一次世界大戦中、戦争に参加している国では報道規制が敷かれ、自国に不利になるインフルエンザの流行は報じませんでした。

 ただ中立国だったスペインでは大流行を報道したため「スペインで流行った風邪」と呼ばれたようです。

(写真:「道端でたまたま見かけた紅葉」旧鹿野町)