今月の薬膳;春を告げる魚:鰊

かつて北海道日本海沿岸には、春にニシン(鰊)が群来し、ニシン漁でにぎわいました。そのため「ニシン(鰊)」は「春告魚」と当て字で書かれることがあります。

「ニシン来たかとカモメに問えばぁ」北海道に古くから残る民謡「ソーラン節」にも、ニシン漁に関する歌詞が残されていますが、ニシンがやってくるのは、毎年春の3月。産卵期のため、海一面はミルク色になったといいます。
 
 江戸時代より、ニシンは、1年を支える食料としてだけでなく、大切な収入源。蝦夷三品(昆布・鮭・ニシン)のひとつとして、関西地方まで運ばれていました。松前藩では、北海道では、米がとれなかったため、年貢の代わりとして、ニシンを収めさせていたという記録も残っています。
 
 明治までは、隆盛を極めたニシン漁ですが、1950年代以降は漁獲量がめっきり減り、いまや幻の魚と称されるに至ってしまいました。