「ポルト・リガトの聖母」サルバドール・ダリ

おはようございます。2014年3月27日(木)感謝の朝です。有難うございます。今日も宜しくお願い致します。+576「ポルト・リガトの聖母」サルバドール・ダリ

サルバドール・ダリは二十世紀を代表するスペイン生まれの画家。超現実的世界を描き、シュールレアリズムの巨匠として天才の名をほしいままにしたが、戦後、カトリックの教義とヨーロッパ古典絵画に関心を深めてゆきました。その一方で、原爆投下に衝撃を受け、原子物理学にも傾倒してゆきました。その作品が、妻ガラをモデルにした「ポルト・リガトの聖母」作品です。全てが整然と空中に浮遊してるかのように描かれた沈黙の世界。マリアと幼いキリストの胸には、ぽっかりうつろに四角い穴が開いている。幼子の胸の空間にはパンが描かれている。ダリは、伝統的な構図に従いながらも原子核の構造を模して、彼の「聖母子」を描いた。絵は見るものの視線を中心へ中心へと、すなわちキリストのからだを象徴する聖なる「命のパン」へと導いていく。通常、消失点が予想される場所に、命の象徴がある。幼子イエスがひろげた両腕の延長に水平線が広がっている。マリアの頭上から下がる卵を起点として、マリアの膝近くに浮遊するかのような麦の穂へ、そしてそのさらに下方の薔薇の花へと導かれる視線は、一本の垂直線となってキリストの身体の中心を貫いている。キリストを中心にして交わる水平と垂直の直線は十字架のようにも見えてくる。この絵は聖母子像であると同時に、磔刑のキリスト像でもあるのです。ダリは、核の恐怖に支配された世界には、「神」の存在などなくなるのではないかということを言いたかったのかもしれません。

今日の一日が皆様にとりまして素敵な時間となりますように( ´ ▽ ` )