顔が見える

いつからだろうか、大手のスーパーなどでよく見かけるようになった”顔が見える”と書かれた商品達。
生産者の方の写真や似顔絵と名前が書いてあって、誰が作った野菜か等が分かるようになってある。

思えば、ヤマト薬局の在るこの小さな町では”顔が見える”というのは、ごく当たり前のことである。
「○○さんの作ったかぼちゃ」とか、「○○の魚屋さんが、唐揚げにと勧めてくれた魚」とか。パッと、商品に携わった人の顔を思い浮かぶことができるので、おのずと、それらに対する愛着も沸き、残さず大事にいただこうという気になる。美味しくいただいたら、次回会った時にご報告。

これは、ヤマト薬局の薬でも同じことだと思う。
「この前、お父さんに作ってもらった薬で御蔭さんで足の痛いのが治ったよ」とか、「娘さんの作った水虫薬はこれだったかな?皮がめくれることも無くなってきれいになっているよ」とか。
顔が見えていることで、大きな責任を伴うけど、その分治っていただけた時の喜びも大きい。

大きなスーパーのやり方を否定するわけではない。街中では、商品があふれ、お金を出せば簡単に物が手に入るので、消費者が物を作っている人のことまで想像することなど難しいだろうから。あのように表示することで、少しでも作っている人のことを考えることが出来たら良いことだと思う。
ただ、ふと感じたのだ。きっと、本当に”顔が見える”というのは、この町の生活そのもののようなことを言うのだろうなと。八年間離れていたからこそ、改めて地元の良さに気がつけたのかもしれない。
これからも、この町で顔の見える薬剤師であり続けたい。