つながっていく
薬局にやって来られた男性の方から、「首に巻く様な冷却剤はないかな?」と尋ねられた。
あいにく、うちの薬局にはその類の商品の取り扱いがない。町内で、どこか取り扱っているお店があるかどうかも不明。隣町のドラッグストアやホームセンターに行って頂くにも、車で15分くらいかかってしまうし・・。
お役に立てなくて申し訳ないなぁと、断ろうとしたとき、ふと或るお客さんとのやり取りを思い出した。
毎日、ある施設の掃除をしているその方は、最上階から下まで掃除をして降りてくると、とんでもなく汗をかくのだそうだ。冷房がある部屋は良いが、むしろついていない部屋の方が多く、最上階の道場は蒸し風呂のようになっていて、とても過酷な状況の中仕事をされている。
今の仕事をし始めてから、去年まではひどいあせもにも悩まされていたらしい。「それが、今年はこんなに暑いのに、全然あせもが出てないのよ。」
聞けば、濡れタオルに小さな保冷剤を挟んで、後ろ首の付け根に保冷剤が当たるように、タオルを首に巻いているのだとか。すぐに暑さで保冷剤が溶けてしまうので、毎日3つか4つくらい替えを持って行って、職場の冷凍庫に入れているらしい。これをするようになって、「以前ほど汗をかかないし、楽に仕事ができるようになった。何より、ひどいあせもにならなくなったのが嬉しい」と教えて下さった。
「簡単で良い方法教えてもらえたな~。あせもで悩んでる人おったら教えてあげますね~。」
という、頭の片隅に置いてあったやり取りが呼び起されたのだった。早速、薬局の冷凍庫から保冷剤を出してきて、「これこれ、こうこう」と説明をすると、男性は、「これだったら魚買ったときとかによくついてるね。ありがとう、やってみるわ。」と言ってそれを持って帰られた。
薬局の店頭では、雑談を通して、お客さんから自然のこととか、農業、漁業、そのほか様々な知識を教えていただくことが多い。その知識が、また何人もの助けになっていく。
明日は、どんなお話が聞けるかな。