ある風景

夕暮れの、グレーの空に連なる鳥の群。
カラスかな?と思いつつ、車を走らせる。
近づくにつれ、白色の羽がキラキラと羽ばたくのが見えてきた。
白鷺の群だった。それも、20羽とその後に続く10羽程の大きな集団だった。
3~4羽くらいで、連れ立って帰っていく姿は今までに何度となく見かけたことはあったが、一度にあんなに沢山の白鷺の群を見たのは初めてだった。何か、良いことが起こる前触れの様な気がした。

田畑が広がるこの地域では、白鷺はごく身近な鳥の一種だ。
青く生い茂った稲の間に、ポツポツと白鷺が立つ姿を見て、東京から来た方が「あれは何ですか?置物かと思った。すごく可愛いね。」とおっしゃっていたのが印象深かった。都会の方には珍しい光景だったのだろう。
緑に白鷺の白色は良く映えて、二色のコントラストはとても美しい。
この、美しい田舎の景色が、次の世代にも、その次の世代にもずっと続きますように。
去っていく白鷺の群れに願いを込めて。