モクモク
これからの季節、手の荒れやあかぎれ・ひびなどに紫雲膏は欠かせない。二週間ほど前から、原料はそろえてもらっていたので、そろそろ作らねばと思い、夕方から作り始めた。
紫雲膏作りは、常に温度を管理しながら行っていく。はじめはごま油を170℃くらいに熱し、主薬の当帰と紫根を入れるときには150℃くらいを維持しながら作らなければならない。
レシピ通り、170℃まで上げて、それから150℃にして・・・。順調に進めていたけど、途中から少し様子がおかしくなった。加熱していても温度がどんどん下がってしまうのだ。なんか変だなあ?130℃から上がらなくなった。
おかしいな、おかしいな、煙は出ているのに全然温度があがらない。
ん?煙?前作ったときは、こんなに煙が出ていたっけなあ?
様子を見にきた父が、「うち、火災報知機あるから鳴るかもなぁ」と言ったら途端に報知器のアラームが鳴り始めた。誰もアラームの止め方が分からずにおろおろしていると、すぐにセコムから電話がかかってきた。セコムの方には、薬を作っていて火災ではないからと説明とお詫びをして電話を切ったけど、煙は一向におさまらず、ますますひどくなっていく。温度は必要な150℃に満たないけど、あまりの煙のひどさに怖くなって一旦火を止めた。
表面はモクモクと煙が出てかなり高温になっているぽいのに、液体の温度は全く上がらない。わけの分からない現象に途方にくれてしまったが、もしや、温度計が途中で壊れてしまったのではという仮説が浮かび上がった。よく考えれば、これだけ煙が出ているのに液体の温度が上がってないはずがない。このまま進めてみようということになり、試しに生薬を入れてみると『シュワシュワ』といい感じの音がする。そうそう、前に作ったときにもこんな感じだった。温度は十分上がっていたんだ。その後は、問題なく無事、軟膏を仕上げることができた。
でも、後からよくよく考えると、もう少し温度が上がらないかとあの時加熱を続けて粘っていたら、あわや火事ということになっていたかも・・。だって、熱しているごま油の表面で渦巻く煙の様子が、教育用のビデオなんかで見たことあるような、揚げ物油からの火災の時の様子とかなり似ていたもの・・。無事に作り終えることができてよかったよかった。
何はともあれ、紫雲膏はこんな感じでとっても手間隙かけて作っています。うちで作っているものは、市販のものより効果が良いと評判です。ひどいひび・あかぎれでお困りの方、是非お試し下さい。