人災の先に

今回の震災、せめて、原発の事故さえなければと思ってしまう。そして、この事故は天災に引き続く人災によってここまで事態が大きくなったのではないかと思わずにはいられない。パフォーマンスだけの日本のトップの視察、東京にいる天下りの東電幹部達。本当の現場を見ていないのに、なぜあんなにも安全だ、安全だと繰り返していたのか。始めの避難退避は2km、3kmだった。それが今では20km、30kmと拡大されている。
一連の原発の報道を追って見ていて、不信感が拭えなかった。不都合なことはテレビでは放送されていないと感じた。

今朝、東京電力福島第一原発の事故は、放出された放射能の推定量からみて、国際評価尺度で大事故にあたる「レベル6」に相当することが分かったとネットニュースに書いてあった。
既に、アメリカのスリーマイルのレベル5を超えてしまっている。
そんな中、原発の立ち入り禁止区域内にまだ多くの動物たちが残されていることはあまり知られていない。テレビでは一切報道されていないから。でも、ネットで検索すればすぐにヒットする。
人間は集団でバスで避難したが、ペットは一緒に乗っけてもらえず、皆泣く泣く置き去りにしてきたらしい。
しかも、2・3日の避難で済むと思っていた人々、エサも水も普段通りにしか置いてきていないという。
そうした飼い主達の悲痛な声、置いてきた子たちを助けてという書き込みが愛護団体の掲示板には絶えず掲載されている。
写真のラブラドールは、原発から徒歩圏内の子。
愛護団体も立ち入ることができない区域で、レストランの裏に鎖でつながれたままになっているようだ。
立ち入ることの出来る自衛隊、原発関係者他の方がせめて鎖をはずしてやるか、エサ、水などを置いてきてくれないだろうか。混乱した現場では動物にまでかまってやれないのかもしれないが、どうか見捨てないであげて欲しい。

西日本で、穏々と日常生活を送る私が、今想像を絶する日々を送っている福島の避難中の方を責めることなんて到底できない。
だけど、家族なら避難区域外まで自力ででも連れていって欲しかった。
人間は国や行政が守ってくれるが、動物たちには飼い主しか守ってやることが出来ないのだから。本当に、連れて出て欲しかった。

動物は、どんな状況にあっても、死ぬことを考えないと或る人が言っていた。死の直前までただただ生きることを考えて生きるのだと。
ゴーストタウンで独りぼっちになっていても、きっと生きる希望を捨てないで、飼い主を信じて待っている。

人災の犠牲になるのは、結局弱者や動物たちなのだと、離れた街でやりきれない思いで過ごしている。