運転
隣町にある市民病院が分業してから、目の前に門前薬局があるにも関わらず、わざわざ遠回りをしてうちの薬局に薬を取りに来てくれていた女性。
薬局に来るときも、時々車から見かけるときにも、原付に乗る姿をよく目にしていた。
81歳になると言うが、見た目にも若々しく、本当にお元気だなといつも感心していた。
その女性が、先日、いつも使って下さっているスキンケア用品を買いに来てくださったときに、
「いつも貰ってる病院の薬なんだけど、今度から病院の前の薬局でもらうことになったのよ。」
とおっしゃった。
聞けば、原付に乗る女性を心配した息子さんに、危ないから、もうなるべく原付に乗らないようにと注意を受けたのだとか。
息子さんにしてみれば、処方箋を持って、うちの薬局までぐるっと回ってくるわずかな距離でもやはり心配なのだろう。息子さんの気持ちはよく分かると思った。
ご本人は、「長年お世話になってるここが良かったんだけど、仕方がないわね。」と言われた。
私も少し寂しく思ったが、「また、たまにはお顔を見せに来てください。」と言って別れた。
田舎なので、車や原付は大切な移動手段。
7、80代の方が運転されるのはごく普通の光景なのだ。
ただ、この女性のように、家族が心配して運転を止めさせるケースもよくある。
だんだんと、今まで薬局にご自分で運転して来てくれていた方が来れなくなり、お顔を見れなくなるのは寂しいけれど、やはり安全と命には代えれないと思う。
車を運転しているときに、対向車で知り合いの年配の方が運転されているのを見かける度に、心の中で『気をつけてねー!!』と思いながら見送っている。