毎日とても生き辛いと感じていた学生の頃、心療内科でも行って薬でも貰って少しでも楽になりたいと考えた。
思い切って、大学周辺の地理に詳しい或る友人にどこか良い心療内科を知らないかと尋ねたら彼女はこんなことを言った。
「病院を教えるのは簡単だけど、精神科の薬は一度飲み始めたらなかなか止めれないよ。もう一度考えてみて、それでもどうしてもと言うのならその時は教えるから。」
当時の私には、とても意外な答えだった。
私のことを心配して、きっとどこかの病院を紹介してくれるだろうと思っていたのだけれど、彼女はもっと進んだ視点から心配してくれていたのだった。
結局、悶々と過ごしながらも私は心療内科に行くことはせず精神科系統の薬を飲まずに済んだのだが、今ではあの時の友人の対応に本当に感謝している。
抗うつ剤や向精神薬は昔のように習慣性はないと言われているが、実際には止めるのに非常に苦労している方が本当に多い。
一度飲み始めた薬を止めたくて相談に来られる方が後を絶たないのだ。
SSRIと言われる抗うつ剤が莫大な売り上げを誇り、専門医でなくても簡単に処方されることが多くなった。
薬を出す方も飲む方も、安易に抗うつ剤を始めてしまえる現状。
だけど、本当にそれで良いんですか?
私は、大切な人には抗うつ薬の類は絶対飲ませたくない。
かつての友人のように、私も精神科系の薬に踏み込もうとしている人の砦でありたいと思う。
そして、今だから言える。
「大丈夫。漢方薬があるじゃない。」