或る会話より
処方箋で、痛み止めの塗り薬を取りに来られたおじいさん。
痛いんですね。と、たずねると、ぽつりぽつりと話をして下さった。
何ともなかった時には気にもかけなかったのに、足が痛くなって初めて自分にも一丁前に足が付いているんだなと分かったよ、と。
実際になった人ならではの、なかなか面白い表現をされるなと思った。
それから、もうボロで役に立たなくなって平成の粗大ごみになってしまったよ、とも言われた。
不意に言われた言葉に、そんなことないですよ、としか返せなかった。
牛窓では高齢でも現役で働いている方が多く、恐らくそのおじいさんもまだ現役で仕事をされているようだった。
帰っていく背中を見送りながら、(粗大ごみなんかじゃない、牛窓の宝ですよ)と心の中で思ったが、話している時にその言葉を伝えれなくて残念だった。