傷寒論 辨脈法 第四十四條
脈陰陽俱緊者口中氣出脣口乾燥踡臥足冷鼻中涕出舌上胎滑勿妄治也到七日已來其人微發熱手足溫者此爲欲解或到八日已上反大發熱者此爲難治設使惡寒者必欲嘔也腹内痛者必欲利也。
みゃく陰陽俱に緊の者、口中より氣出で、脣口乾燥し、踡臥足冷し、鼻中より涕出で、舌上の胎滑らかなるは妄りに治するなかれ、七日已來に到りて其の人微に發熱し手足溫かなる者は此れ解せんと欲すると爲す、或は八日已上に到りて反って大いに發熱する者は此れ治し難しとなす、設使し惡寒する者は必ず嘔せんと欲するなり、腹内痛む者は必ず利せんと欲するなり。
脈の陰陽(寸口・尺中)共に緊の者は口中の氣が出て唇や口の中が乾燥して、身体を丸めて足が冷え、鼻の中から水ハナが出て、舌上の胎(こけ)が滑らかなものは、みだりに治してはいけない。様子を見なさい。七日迄の間に、その人が微に發熱し、手足溫かな者は治ろうとしている。或は八日以上にかえって大いに發熱する者は、これは治りにくいとします。もし悪寒する者は必ず吐き氣が出て、腹の中が痛む者は必ず下利するのである。