傷寒論 傷寒例 第四條

九月霜降節後宜漸寒向冬大寒至正月雨水節後宜解也所以謂之雨水者以冰雪解而爲雨水故也至驚蟄二月節後氣漸和暖向夏大熱至秋便涼從霜降以後至春分以前凡有觸冒霜露體中寒即病者謂之傷寒也。

九月霜降の節より後は宜しく漸く寒く冬に向って大いに寒かるべし、正月雨水の節の後に至り宜しく解すべきなり、之を雨水と謂ふ所以の者は冰雪解けて雨水となるを以ての故なり、驚蟄二月の節の後に至れば氣は漸く和暖夏に向ひて大いに熱し秋に至れば便ち涼し、霜降より以後春分に至る以前に凡そ霜露を觸冒し體寒に中てられ即病する者は之を傷寒と謂ふなり。

九月の霜降節の後、漸く寒く、冬に向い大いに寒く、正月の雨水節の後に至り、寒さが解してゆるんでくるのである、いわゆる之を雨水というのは、冰雪(氷や雪)が解けて雨や水となるからである、啓蟄二月の節になって、氣が漸く和して暖くなり、夏に向い大熱となる、秋になって涼しくなる。霜降より以後、春分に至る間、一般に霜や露に觸れて犯されるものは、體が寒に中りすぐに病氣になる者を傷寒という。