傷寒論 傷寒例 第十五條
凡傷於寒則爲病熱熱雖甚不死若兩感於寒而病者必死尺寸俱浮者太陽受病也當一二日發以其脈上連風府故頭項痛腰脊強尺寸俱長者陽明受病也當二三日發以其脈俠鼻絡於目故身熱目疼鼻乾不得臥尺寸俱弦者少陽受病也當三四日發以其脈循脅絡於耳故胸脅痛而耳聾此三經皆受病未入於府者可汗而已。
解
およそ、寒に傷らるれば則ち病みて熱を爲す、熱甚しと雖も死せず、若し兩つながら寒に感じて病む者は必ず死す、尺寸俱に浮かべる者は太陽病を受けたるなり、當に一二日に發すべし、其の脈上りて風府に連なるを以ての故に頭項痛みて腰脊こはばる、尺寸俱に長き者は陽明病を受けたるなり、當に二三日に發すべし、其の脈鼻をはさみ目を絡ふを以ての故に、身熱し目疼み鼻乾きて臥するを得ず、尺寸俱に弦なる者は少陽病を受けたるなり、當に三四日に發すべし、其の脈脇を循り耳を絡ふを以ての故に、胸脇痛んで耳聾す、此の三經皆病を受けて未だ府に入らざる者は汗して已ゆべし。
凡そ寒に傷られて、則ち病熱を爲すものは、熱が甚しくても死なない。若し陰陽俱に寒に感じて病む者は、必ず死んでしまう。尺寸が俱に浮の者は、太陽に病をうける、當然一二日に發病して、其の脈が上は風府につらなって、頭項が痛むのである、腰や背中が張りいたむ。尺寸が俱に長の者は、陽明に病を受ける也、當然二三日に發し、其の脈が鼻を俠み目を絡っているので、故に身熱し目疼む、鼻乾き臥することができない。尺寸が俱に弦の者は、少陽に病を受けるのである、當に三四日に發し、其の脈が脇を循り耳を絡う、故に胸や脇が痛んで耳が聞こえなくなる。此の三經皆な病を受けるときは、未だ府に入っていない者は、發汗して治るのである。