傷寒論 傷寒例 第十八條
其不兩感於寒更不傳經不加異氣者至七日太陽病衰頭痛少愈也八日陽明病衰身熱少歇也九日少陽病衰耳聾微聞也十日太陰病衰腹減如故則思飮食十一日少陰病衰渴止舌乾已而嚏也十二日厥陰病衰囊縱少腹微下大氣皆去病人精神爽慧也若過十三日以上不間尺寸陷者大危若更感異氣變爲他病者當依舊壞證病而治之。
其の兩つながら寒に感ぜず更に經に傳へず異氣を加へざる者は七日に至りて太陽の病衰へ頭痛少しく愈ゆるなり、八日には陽明の病衰へ身熱少しく歇むなり、九日には少陽の病衰へ耳聾微しく聞ゆるなり、十日には太陰の病衰へ腹減じて故の如く則ち飮食を思ふ、十一日には少陰の病衰へ渴止み舌の乾きいえて而して嚏するなり、十二日には厥陰の病衰へ囊ゆるみ少腹微にさがり大氣皆去り病人精神爽慧なり、若し十三日以上を過ぎても瘳えず尺寸陷る者は大いに危ふし、若し更に異氣に感じ變じて他病となる者は當さに舊壞の證病に依りて之を治すべし。
其の二つながら寒に感ぜず、更に經に傳えない者は、他の異氣(病氣)を加えない者は、七日になって太陽病が衰え、頭痛が少し愈えるのである、八日に陽明病が衰え、身熱が少し歇する、九日に少陽病が衰え、耳聾が少し聞こえるのである、十日に太陰病が衰え、腹が減ずることが故(もと)のようである、則ち飮食を思う、十一日に少陰病が衰え、渇が止んで舌が乾くのも止み、くしゃみをするようになる、十二日に厥陰病が衰え、陰囊が縱(ゆる)み、下腹が少し下って、大氣が皆な去って、病人精神が爽慧になる、若し十三日以上を過ぎて間(いえる、病氣が少し良くなる)らず、寸口と尺中が陷(沈む)者は、大いに危うい、若し更に異氣に感じ、變じて他病になる者は、當然依舊の壞證病で之を治せ。