傷寒論 傷寒例 第二十條
凡人有疾不時即治隱忍冀差以成痼疾小兒女子益以滋甚時氣不和便當早言尋其邪由及在腠理以時治之罕有不愈者患人忍之數日乃説邪氣入藏則難可制此爲家有患備慮之要。
およそ人疾あって時に即治せず隱忍して差ゆるを冀(こいねが)へば以て痼疾を成す、小兒女子は益ます以て滋甚し、時に氣和せざれば便ち當に早く言ふべし、其の邪の由って及んで腠理に在るを尋ね時を以て之を治すれば愈えざる者あること罕(すくな)し、患人之を忍ぶこと數日にして乃ち説き邪氣藏に入らば則ち制す可きこと難し、此れ家に患有るに慮を備ふるの要となす。
凡そ人に疾が有って、時に即ぐに治さないと、隱し忍えて差えるのをこいねがうと、結局痼疾(治りにくい病氣)となってしまう、小兒や女子は、益々以てはなはだしい發病した時に氣が和せなければ、便ち當に早く言うべきである、外から入った病氣と及び腠理に有る其の邪の由来を尋ねて、即時に治方を施せば、愈らない者はまれである、病人が忍びに忍んで、何日も經ってから訴えると、邪氣が藏に入って、制御するのが難しくなってしまう、此れは家に病人が有るときの、あらかじめ備え心得る大切なことである。