傷寒論 太陽病上篇 第七條

若發汗已身灼熱者名曰風溫風溫爲病脈陰陽俱浮自汗出身重多眠睡鼻息必鼾語言難出若被下者小便不利直視失溲若被火者微發黄色劇則如驚癇時瘈瘲若火熏之一逆尚引日再逆促命期。

若し汗を發し已はり身灼熱する者は名づけて風溫と曰ふ、風溫は病を爲せば脈は陰陽俱に浮、自汗出で身重く多く眠睡し鼻息必ず鼾し語言出だし難し、若しも下を被むる者は小便不利し直視して失溲す、若しも火を被むる者は微に黄色を發し劇しければ則ち驚癇の如く時に瘈瘲す、若し火にて之を熏ずれば一逆尚ほ日を引き再逆すれば命期を促はす。

そんな症狀で汗を發しおわって、身體が燒かれるように熱くなるものは、風溫と名づけるのである。
 風溫の病というものは、脈が陰陽ともに浮いていて、自然と汗が出て、身體が重くやたらにねむたがり、鼻で息をして、必ずいびきをかき、話す言葉が出にくいのである。この風溫の病人に下しをかけると小便が出なくなり、目がすわって、小便をもらしてしまう。もし加熱療法(灸などのこと)を加えるものは、すこしく身體に黄色を發するようになる。
 症狀のはげしい時には、てんかんのように時々けいれんを起こすようになる。もしこたつのようなもので身を暖めて、汗を出させるようにする治方のことで、一つの逆治は治療が長びくことになるし、二度の逆治は命をちぢめるようになる。