傷寒論 太陽病上篇 第十七條

太陽病三日已發汗若吐若下若溫鍼仍不解者此爲壞病桂枝不中與也觀其脈證知犯何逆隨證治之。

太陽病三日、すでに汗を發し若くは吐し若くは下し若くは溫鍼し仍ほ解せざる者は此を壞病となす桂枝を與ふるは中らざるなり、其脈證を觀て何の逆を犯したるかを知り證に隨ひて之を治せ。

太陽の病になって、三日を經過し、それまでに發汗し、もしくは吐させ、もしくは下したり、もしくは溫鍼をして發汗させたりしても、病が解愈しないものは、これは間違った治療を加えたために変則的な病になったのである。このような病證には、桂枝湯を與えてはいけない。これを治療する場合には、その脈證をよくしらべて、どのような逆治をしたことによって、こうなったのかをよく理解して病證によって治しなさい。
 表に病があれば、發汗すれば愈ゆるはずであるのに治らない。病が上焦にあれば、吐させれば愈ゆるはずであるのに治らない。病が裏にあれば下せば愈ゆるはずであるのに治らない。發汗が不足だと思って、溫鍼したが治らないと、病邪がどうなってしまったのか、わからなくなってしまったということである。
 であるから最初からよくしらべて治療をしなさいということである。