傷寒論 太陽病上篇 第三十條
傷寒脈浮自汗出小便數心煩微惡寒腳攣急反與桂枝湯欲攻其表此誤也得之便厥咽中乾煩燥吐逆者作甘艸乾薑湯與之以復其陽若厥愈足溫者更作芍藥甘艸湯與之其腳即伸若胃氣不和讝語者少與調胃承氣湯若重發汗復加燒鍼者四逆湯主之。
傷寒脈浮自汗出で小便數く心煩微惡寒腳攣急するに反って桂枝湯を與へて其の表を攻めんと欲するは此れ誤りなり、之を得て便ち厥し咽中乾き煩燥吐逆する者には甘艸乾薑湯を作り之を與へて以て其の陽を復す、若し厥愈え足溫たかなる者には更らに芍藥甘艸湯を作り之を與ふれば其の腳即ち伸ぶ、若し胃氣和せず讝語する者は少しく調胃承氣湯を與ふ、若し重ねて汗を發し復た燒鍼を加へたる者は四逆湯之を主どる。
傷寒で脈が浮いて自汗が出て、小便がやたらに出て心煩微惡寒、脚が攣急するものは、逆に桂枝を与えて其の表を責めるのは此れは誤りである、藥を飮んで厥(手足が冷えて)して咽中が乾き煩躁吐逆の者は甘艸乾薑湯を作りのませ其の陽を回復させ、若し厥が愈り足が溫き者は更に芍藥甘艸湯を作って飮ませる、其の脚が即ち伸び、若し胃氣が和せないで讝語する者は少し調胃承氣湯を飮ませ、若し重ねて發汗し復た燒鍼を加えた者は四逆湯が主る。