傷寒論 太陽病中篇 第四十五條
未持脈時病人手叉自冒心師因敎試令欬而不欬者此必兩耳聾無聞也所以然者以重發汗虛故如此。
未だ脈を持たざる時病人手叉し自から心を冒ふ、師因って敎へて試みに欬せしめしに欬せざる者は此れ必ず兩耳聾して聞こゆる無きなり、然る所以の者は重ねて汗を發したるを以てかくの如し。
醫師が來て、病人のところに坐って、まだ脈診をしない内に、病人の様子を見て、無意識に手を組んで胸に手をあてている。これは動悸がしているからであろう。醫師がその様子を見て、試しに咳をしてごらんといっても、咳をしないものは、兩方の耳がきこえなくなってしまったのである。そうなる理由は、たびたび發汗したために、陽が虛してしまって、そのようになったのである。