傷寒論 太陽病中篇 第六十六條

太陽病先下之而不愈因復發汗以此表裏俱虛其人因致冒冒家汗出自愈所以然者汗出表和故也得裏未和然後復下之。

太陽病、先づ之を下して、而して愈えず、因って復た汗を發し、此を以て表裏ともに虛すれば、其の人因って、冒を致す、冒家は汗出づればおのづから愈ゆ、然る所以の者は、汗出づれば表は和するがゆゑなり、裏未だ和せざるに得ればしかる後、復た之を下だす。

太陽病であるのに、最初下してやったけれども、治らないのでその上に汗を發してやった。これがために、表と裏がともに虛してしまい、その人が冒を起こしてしまった。冒とは頭に鉄カブトをかぶったように、ボーッとすること。この冒がひどくなると、耳がきこえないこともあり、耳鳴りのこともあり、目がかすんだり、見えないこともある。これが冒である。冒を起こす人は、汗が出ればそれで自然に治るのである。その理由は、汗が出れば表が調和するから、冒が治るのである。裏の方はまだ和していないから、表が和してから下してやればよいのである。