傷寒論 太陽病中篇 第七十二條

得病六七日脈遲浮弱惡風寒手足溫醫二三下之不能食而脇下滿痛面目及身黄頸項強小便難者與柴胡湯後必下重本渴而飮水嘔者柴胡湯不中與也食穀者噦。

病を得て六七日、脈遲浮弱、風寒をにくみ、手足溫、醫、二三之れを下だし、食する能はず、而して、脇下滿痛し、面目及び身黄、頸項強ばり、小便難き者は、柴胡湯を與ふれば、後必ず下重す、本と渴して水を飮み、嘔する者も、柴胡湯は與ふるに中らざるなり、穀を食する者は噦す。

病いにかかってから、六、七日たって脈がおそく浮いていて弱く、風も寒もいやがり手足が溫かいのは、まだ病が表に殘っている。それなのに醫者が二三回下してしまった。しかし脈は遲であるから裏が冷えている。下したために胃がますます虛冷してしまって食べられなくなってしまった。そして脇腹が滿して痛み、顏や目から身體まで黄色くなり、頸やうなじまでが強わばり、小便が出にくいものに柴胡湯を投与すると、後で必ず腹がしぶり下利を起こしてしまう。また前々からの咽がかわいているものが、水を飮んで嘔くような者には、柴胡湯を与えても効果がないのである。このような人が食べ物を食すると、胃が虛冷しているからシャックリが出てくるのである。