傷寒論 太陽病中篇 第七十六條

凡柴胡湯病證而下之若柴胡證不罷者復與柴胡湯必蒸蒸而振卻發熱汗出而解。

凡そ、柴胡湯の病證にして、之れを下し、若し柴胡の證罷まざる者は、復た柴胡湯を與ふれば、必ず蒸蒸として振ひ、卻って發熱汗出でて解す。

一般に柴胡湯の病證があった場合に、他の下劑で下した場合に、もし柴胡湯の證がまだあるものは、柴胡湯をやり治してやると、必ずむしむしと振いたって發熱して汗が出て解するのである。これは柴胡湯證の場合には、發汗、吐、下、は禁忌であるが、恐らく中焦または下焦に熱を持って、便秘していたのであろう。それで柴胡證がありながら下劑を服用させて下したから、半表の熱は裏の方に入りこんだのである。
 ところがまだ半表に病邪が殘っているために、下したあとでも柴胡の證がある。そこであらためて柴胡劑を服用させたのである。ところが半裏の方が熱が強いから發汗が出る場合に蒸々として振うと、深い熱が出る症狀を現わしたのである。