★ 2006年 第39回日本薬剤師学術大会(福井)

★2006年 第39回日本薬剤師学術大会(福井)★

2006年(平成18年)は福井で日薬学術大会がありました。
ここが、大分から不便!中津(ソニック)⇒小倉(のぞみ)⇒大阪(雷鳥だったかな)⇒福井(チャリンコ組み立て)⇒会場へ、朝5時起きで、昼過ぎにつきました。
会場が、バラバラなので、組み立て自転車を持参していきました。大分から来た先生は驚いてみていました。以下、抄録です。




医療用漢方薬エキス製剤の吸湿性と保管法の検討
ワタナベ薬局上宮永店 松本康弘

【目的】医療用漢方は通常では吸湿性を心配することはない。しかし、小児科の処方では用量が少ないために、開封し、分包しなおす必要がある。通常のグラシン紙の分包紙では水分が通過し、製剤が水気を帯びる。実際、患者さんから調剤した漢方薬が変性した旨の指摘があった。今回、当薬局で分包している漢方製剤の吸湿性を調べるとともに、その保存方法について検討した。

【方法】当薬局で処方した経験のある、ツムラ葛根湯加弓川、ツムラ小青竜湯、ツムラ麦門冬湯、ツムラ桂枝加芍大黄湯について検討した。それぞれ、分包機(高園機器)で2gずつ分包した。1)試験者自宅にてグラシン紙のまま保管し経時的に重量を記録した。2)ジッパー付きのビニール袋、タッパー中(乾燥剤入り)、冷蔵庫(タッパーに入れ)で保管し、それぞれ開封しなかった場合と1日2回開封した場合(実際の服用にあわせた)で重量変化を調べた。

【結果】1)ツムラ葛根湯加弓川、ツムラ小青竜湯、ツムラ麦門冬湯、ツムラ桂枝加芍大黄湯はそれぞれ、経時的に増加した。しかし、ツムラ小青竜湯に比較して、ツムラ葛根湯加弓川、ツムラ麦門冬湯およびツムラ桂枝加芍大黄湯の重量増加は大きかった。またツムラ葛根湯加弓川とツムラ桂枝加芍大黄湯では4週目以降から変色およびケーキングが観察された。2)検討した方法では全てグラシン紙のまま保存したときより重量増加は少なかった。しかし、ジッパー付きビニール袋では両方で重量の増加がみられ、乾燥剤を入れたタッパーでも開封しない方は重量変化しなかったが、開封した方では増加が見られた。一方、冷蔵庫で保管した場合は、開封した場合・しなかった場合ともに重量増加は殆ど認められなかった。

【考察】今回、調べた漢方薬ではツムラ葛根湯加弓川とツムラ桂枝加芍大黄湯で明らかな吸湿性による変性が認められた。この対策としては今回検討した中では冷蔵庫の保管が最も適当であった。漢方薬の吸湿性は昔から報告されてきていたが、未だどの漢方薬で吸湿性が高いか明らかにされていない。漢方薬を出されている会社からの吸湿性のデータの開示を切に願う。