★ 第70回九州山口薬学大会 ★

★ 第70回九州山口薬学大会 ★
2007年は熊本で九州山口薬学大会が開催されました。折角のふるさとなので、演題を出してみました。演題は昨年、日本薬剤師学会に報告した漢方薬の吸湿性です。前回は比較的、乾燥期の冬場に行いましたが。今回は湿度の高い夏場に実施しました。
やはり、夏場のほうが湿度が高い分、あっという間にケーキングしました。タッパーウエアーやジッパーつきの袋等々では全く歯がたちません。唯一、冷蔵庫だけが大丈夫でした。




医療用漢方薬エキス製剤の夏と冬での吸湿性の比較、およびその保存方法の差
ワタナベ薬局上宮永店 松本康弘

【目的】医療用漢方は通常では吸湿性を心配することはないが、小児科の処方では用量が少ないために、開封し、分包しなおすため、除湿を心がける必要がある。既に、第39回日本薬剤師学術大会において当薬局で処方している漢方薬の中でツムラ葛根湯加弓川とツムラ桂枝加芍大黄湯で明らかな吸湿性による変性が認められた。今回はより湿度の高い梅雨時での吸湿性について乾燥期との比較を行った。

【方法】当薬局で処方した経験のある、ツムラ葛根湯加弓川、ツムラ小青竜湯、ツムラ麦門冬湯、ツムラ桂枝加芍大黄湯について検討した。それぞれ、分包機(高園機器)で2gずつ分包した。1)試験者自宅にてグラシン紙のまま保管し経時的に重量を記録した。2)ジッパー付きのビニール袋、タッパー中(乾燥剤入り)、冷蔵庫(タッパーに入れ)で保管し、それぞれ開封しなかった場合と1日2回開封した場合(実際の服用にあわせた)で重量変化を調べた。なお、乾季のデータは先に報告したデータを使用した。

【結果】1)質重量の増加は明らかに乾燥期に比べて高湿度期の方が急峻でかつ高値を示した。乾燥期ではムラ葛根湯加弓川とツムラ桂枝加芍大黄湯にケーキングが観察されたが、高湿度期ではツムラ麦門冬湯でも経度ではあるが認められた。2)高湿度のときは開封するしないにかかわらず顕著な質重量の増加(吸湿性)がジプロックおよびタッパー中での保管に認められた。しかし、冷蔵庫の中で保管すると、湿度に関係なく良く保たれた。

【考察】 高湿度期には乾燥機に比べて漢方薬は湿気を受けやすい。乾燥方法に関しても、たとえ開封しなくてもジッパーやタッパーでは防水性が保たれなかった。このため、高湿度期には冷蔵庫での徹底した保管方法の指導が必要と考えられる。