★ 2007年 第40回日本薬剤師学術大会 (神戸) No.2

口頭発表しました。
大分県薬剤師会のときのデータに夏場のデータを足して報告しました。いまひとつの会場内の反応でした。かえって、外来小児科学会のほうが活発な議論ができました。

学会終了後、宝塚の手塚治虫博物館に行きました(左写真)。昔、単身赴任のときに来たことがありました。ちょうど、手塚治虫の原画の修正が特集されていました。手塚は結構、単行本化するときなど、大きく絵を修正することがあります。あくまでベストをつくす性格のせいかもしれません、結構、大幅に変わっていた原画もありました。






演題:注意!クラリシッド・ドライシロップは車の中にうっかり放置しないように

所属:ワタナベ薬局 上宮永店  ○松本康弘、柴田美紀

【目的】
クラリシッド・ドライシロップ(DS)は平成18年6月より剤形が変更され、前より服用しやすくなった。しかし、剤形変更にも関わらず、服用できないという患児の保護者からのクレイムがある。一方、「薬局で薬をもらった後、車中に長時間置いていたらクラリシッドDSが変性し苦味が増した」、という報告を受けた。保管方法によってクラリシッドDSの味が変化し、コンプライアンスに影響している可能性があると考え、車中での保管時のクラリシッドDSの変化を観察した。

【方法】
クラリシッドDSを1gずつグラシン紙で分包し、1)ダッシュボードの上、2)小物入れの中、3)フロントシートの上、4)リアシートの上に放置した。朝8時にそれぞれの場所に置いて、夕方5時に回収した(平成18年10月15日、最低気温13.5℃、最高気温 26.2℃、平均気温19.3℃)。回収したクラリシッドDSは形状を観察後、苦味を比較した。なお、苦味の比較は、痛みのスケールであるVisual Analog Scaleを改良し、未処置のクラリシッドDSと比較した。

【結果】
形状:ダッシュボードに置いたクラリシッド DSにはDSの凝集塊が認められた。この現象は薬袋に入れても、また午前中だけ放置しても(午前8時〜午後0時まで)みられた。一方、ダッシュボードの中に入れた場合、フロントシートまたはリアシートに置いた場合には認められなかった。リカマイシンDS、ジスロマックDSおよびバナンDSには上記のような変化は認められなかった。
苦味:ダッシュボードの上に置いたクラリシッドDSは未処置のクラリシッドDSより、軽度ではあったが、苦味が増した。同様な苦味の増加は、薬袋中のクラリシッドDSや午前中だけダッシュボードに放置した場合にも認められた。

【考察】
クラリシッドDSは車中に放置すると、変性し、苦味が増すことが確認された。今回の結果を踏まえ、クラリシッドDSが処方された場合は、投薬時に車内に放置しないように注意を喚起した。さらに、真夏の炎天下での検討も含めて発表予定である。