★ 2010年 第72回九州山口薬学大会 ★

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クラリシッドのジェネリック品にクラリスロマイシン「タカタ」があります。クラリシッドはイチゴ味なのですが、クラリスロマイシン「タカタ」はバナナ味です。

クラリシッドを嫌がる子がいるので、お隣の先生にお願いして、飲めない子に出してもらうようにしました。

ついでだったので、評判をチェックしてみました。結構、例数もあったので、途中でしたが、出してみました。

スライドはクラリシッド⇒クラリスロマイシン「タカタ」に変わることでコンプライアンスが向上するというデータです。

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演題:ジェネリック医薬品の小児への有用性:クラリスロマイシン・ドライシロップでの比較
演者:○松本 康弘、奥永 博満、小林 文香(ワタナベ薬局上宮永店)

【目的】
小児の場合は、乳幼児医療制度のため一部負担起金が発生せず、後発品への変更が進まない。一方、後発品でも先発品に対して、付加価値をつけた製剤が発売されている。特に、小児のドライシロップでは味付け等で、先発品と大きく異なることがある。
マクロライド系抗生剤はその苦味から小児でのコンプライアンスが悪い。当薬局でもクラリシッド・ドライシロップ(DS)は最もコンプライアンスの悪い抗生剤の1つである。今回、クラリシッドDSの後発品10種の中からバナナ味のクラリスロマイシン「タカタ」DSと先発品とのコンプライアンスの比較を行った。

【方法】
クラリシッドDS(アボット)からクラリスロマイシン「タカタ」DS(高田製薬)に変わった患児の保護者にアンケートを行った。アンケートの内容は1)クラリシッドDSの服薬状況、2)クラリスロマイシン「タカタ」DSの服薬状況、3)クラリシッドDSとクラリスロマイシン「タカタ」DSのコンプライアンスの比較、4)ジェネリックに対する印象の4項目からなっている。
服薬状況は1:「問題なく飲める」、2:「80%以上飲める」、3:「50~80%飲める」、4:「10~50%飲める」、5:「10%以下しか飲めない」の5段階に分けた。クラリシッドDSとクラリスロマイシン「タカタ」DSの服薬状況の比較はWilcoxon符号付順位差検定で行った。

【成績】
・76名がクラリシッドDSからクラリスロマイシン「タカタ」に変更となり、41人にアンケートをとることができた(平成22年6月19日現在)。
・クラリスロマイシン「タカタ」DSに変更した患児の中に、クラリシッドDS服薬に問題がある患児が3割いた(服薬状況3以上)。しかし、クラリスロマイシン「タカタ」DSだと、服用に問題ある患児は10%を切った。クラリシッドDSからクラリスロマイシン「タカタ」DS変更前後で比較すると、有意にコンプライアンスが改善された。また、50%以上の保護者がクラリスロマイシン「タカタ」DSの方が飲みやすいとコメントした。
年令で分類すると、1~2才で最もクラリシッドDSのコンプライアンスが悪かった。クラリスロマイシン「タカタ」DSに変更すると、この年齢層のコンプライアンスを最もよく改善した。
・一方、今回の変更による後発医薬品に対する評価は「良くなった」と「変わらない」それぞれ40%と38%と二つに分かれた。「良くなった」と「変わらない」と評価された患児のコンプライアンスを比較すると、「良くなった」群の方が高いコンプライアンスを示した。

【結論】
クラリシッドDSからクラリスロマイシン「タカタ」DSへの変更によって、コンプライアンスが改善された。小児では後発品に変えることによる経済的なメリットはない。しかし、味付け等の付加価値をつけることで、後発品への変更を促せると期待された。