薬局新聞H30.11月号
過敏性腸症候群の原因ははっきりとわかっていないが、何らかのストレスが加わると腸の機能がおかしくなり、腹の痛みや不快感、下痢、便秘という症状が出てきます。
☆過敏性腸症候群の症状
主に便秘型、下痢型、混合型(便秘と下痢を繰り返す)に分類されます。
●便秘型
→便秘以外にも腹痛や腹部の不快感を伴うことがある。一般的に女性に多い。
●下痢型
→下痢や軟便が1日に何回も起こる。一般的に男性に多い。
●混合型
→便秘と下痢を繰り返すタイプ
☆食事療法
炭水化物や、脂肪分の多い食物をとることが症状を悪化させることがあるため、控えるようにします。
また、香辛料やアルコール、コーヒーが症状悪化させることもあるので控えるよう心がけます。
下痢に対しては、適量の食物繊維をとるようにしながら、下痢を引き起こすような冷たい飲み物や牛乳の過剰な摂取は避けるようにします。
便秘に対しては、食物繊維を積極的にとるように心がけましょう。
☆薬物療法
●セロトニン3受容体拮抗薬(イリボー錠)
腸に存在するという神経伝達物質であるセロトニンをコントロールすることで、過敏性腸症候群の症状を改善します。主に下痢型過敏性腸症候群の治療に使用されます。
●高分子重合体(ポリフル、コロネル錠)
便に含まれる水分量を調整し、便の形や硬さを整えます。下痢型にも、便秘型にも使用されます。
●消化管運動調整薬
下痢型にも便秘型にも使用します。下痢に対しては腸の動きを抑制し、便秘に対しては腸の動きを活発にすることで効果を発揮します。
●乳酸菌製剤
腸内環境を整え、下痢や便秘、また腹部の不快な症状を改善します。
●下剤 (酸化マグネシウム、ラキソベロンなど )
便秘型に対して使用されます。便の水分を増やして柔らかくしたり、腸を刺激したりして便を出しやすくします。
●下痢止め
下痢型に対して、下痢がひどいときなどに頓服で用いることがあります。
●漢方薬
漢方を用いた治療では、下痢型や便秘型といった病型や、体質(体力や冷えの有無など)に合わせて処方が選択されます。
●抗不安薬
腸に対して作用する薬の効果が乏しいときや、不安感、ストレス、緊張を和らげます。
●抗コリン薬
腸の異常な運動を抑え、腹痛を抑えます。