芍薬(しゃくやく)の花が咲きました
初夏になると、芍薬の花が咲き始めます。
幾重にも重なった花びら、大きく華やかな花姿は、毎年多くの人の目を楽しませてくれます。
芍薬といえば、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉をご存じの方も多いのではないでしょうか。
これは美しい女性の姿を花にたとえた言葉です。すらりと伸びた茎の先に大輪の花を咲かせる芍薬は、まさに凛とした女性の立ち姿そのものです。
しかし、芍薬の魅力は見た目の美しさだけではありません。
実は古くから漢方薬の原料として用いられ、多くの人々の健康を支えてきた植物でもあるのです。
漢方で使う芍薬は、花ではなく根の部分です。
数年かけて大切に育てられた根を掘り上げ、乾燥させて生薬にします。
芍薬の根には「ペオニフロリン」という成分が含まれており、筋肉の緊張を和らげたり、体のバランスを整えたりする働きがあることが知られています。
東洋医学では芍薬には、
・血を養う
・筋肉の緊張をゆるめる
・痛みを和らげる
・体に潤いを与える
といった働きがあると考えられています。
そのため、
・足がつる
・肩や首がこる
・生理痛がある
・お腹が痛くなりやすい
・疲れやすい
といった症状に用いられることがあります。
有名な漢方薬である
『芍薬甘草湯』にも芍薬が配合されており、こむら返りで飲んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。
芍薬は特に女性の不調に使われることが多い生薬です。
東洋医学では女性の健康は「血(けつ)」と深い関係があると考えられています。
月経、妊娠、出産、更年期。
女性の体は一生を通して血を多く使います。
そのため血が不足したり、巡りが悪くなったりすると、
・冷え
・めまい
・疲労感
・月経トラブル
・肌の乾燥
・不眠
など、さまざまな不調につながることがあります。
芍薬はそのような状態を整えるためによく用いられる生薬の一つです。
芍薬の名前が入った漢方薬に『当帰芍薬散』があります。
当帰芍薬散は、当薬局でもご相談の多い漢方薬の一つです。
名前の通り、「当帰」と「芍薬」を中心に6種類の生薬から作られています。
比較的体力があまり強くなく、
・冷えやすい
・むくみやすい
・疲れやすい
・貧血傾向がある
・めまいや立ちくらみがある
といった方によく使われます。
特に女性に処方されることが多く、
月経不順や月経痛、妊娠中の不調、更年期の不調など、幅広い場面で活躍しています。
東洋医学的にみると、当帰芍薬散は「血を補いながら、水の巡りも整える」処方です。
当薬局にご相談に来られる更年期世代の女性にも、
・冷え性
・むくみ
・めまい
・疲労感
・頭痛
・気圧変化に弱い
という方が少なくありません。
こうした方の中には、当帰芍薬散が合うタイプの方もいらっしゃいます。
もちろん、更年期の不調といっても全員が同じではありません。
イライラが強い方もいれば、のぼせが強い方もいます。
眠れない方もいれば、やる気が出ない方もいます。
漢方では病名だけではなく、その方の体質や体の状態を見て処方を考えます。
だからこそ、「友達に効いたから私にも効く」とは限らないのです。
しかし、冷えやむくみを伴いながら疲れやすい女性にとって、当帰芍薬散は昔から多くの人に愛用されてきた処方の一つです
東洋医学では季節に合わせて生活することも大切な養生と考えます。
忙しい毎日の中では、季節の変化に気づく余裕を失いがちです。
けれども花を眺める時間は、心をゆるめ、自律神経を整える大切な時間でもあります。
最近なんとなく疲れやすい。
気分が落ち込みやすい。
そんなときこそ、少し立ち止まって自然に目を向けてみてください。
芍薬の大きく美しい花は、私たちに季節の移ろいと自然の恵みを教えてくれます。
すいれん薬局では「体は食べたもので作られる」という考えを大切にしています。
漢方薬は体を整える手助けをしてくれますが、土台となるのは毎日の食事と生活習慣です。
よく食べ、よく眠り、よく動く。
そして季節を感じながら暮らす。
そんな積み重ねが健康につながります。
美しい花を咲かせながら、人の健康も支えてきた芍薬。
芍薬を眺めるたびに、自然の持つ力の奥深さを感じます。
もし冷えやむくみ、更年期の不調、疲れやすさなどでお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
お一人おひとりの体質に合わせた食養生や生活養生、漢方薬のご提案をさせていただきます。
