患者様に対する薬局ビジョン!
厚生労働省が2015年に公表した「患者のための薬局ビジョン」では、全ての薬局が2025年までにかかりつけ薬局としての機能を持つという目標を掲げ、その達成度を図る指標(KPI:Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定し評価する必要があるとしています。つまり2025年に「かかりつけ薬剤師・薬局100%」を実現するために、かかりつけ機能を持つ薬局数を客観的な数字でチェックするとしているわけです。
また、16年12月に公表された「経済・財政再生アクション・プログラム2016」においても、医療・介護提供体制の適正化が重要課題の1つとして掲げられ、医薬分業の質を評価するためのKPIを設定するよう求めています。
こうした動きを受けて、16年度に「患者のための薬局ビジョン実現のためのアクションプラン検討委員会」が設置されました。委員会で検討するに当たっては、まず現状を把握する必要があります。そこで無作為に抽出した1000薬局と、その薬局を利用する患者さん(各薬局6人ずつ)に協力していただき、アンケートを実施しました。併せて、地域包括ケアシステムの構築を担う自治体の担当者にもヒアリングをしました。
──かかりつけ機能を持った薬局数を把握する具体的項目を教えてください。
委員会では、従来の薬局の役割に加え、地域包括ケアシステムで果たすことが求められる役割にも着目し、薬剤師としての基本的な義務・機能に関する4つの観点、つまり(1)服薬情報の一元的・継続的把握、(2)24時間対応・在宅対応、(3)医療機関などとの連携、(4)薬学的管理・指導──を評価するための具体的な指標を検討しました。その結果、(1)~(4)の観点に対応する複数の項目を把握することで、かかりつけ機能を持つ薬局の数を把握できるのではないかという結論になりました。
これらを報告書にまとめ、今年3月に厚労省に提出しました。それに基づき、同省が4項目のKPI案を作り(表1)、3月30日に開催された第1回厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会で公表したというわけです。