薬局を賢く利用しましょう
「ちょっと不調だから」「風邪かもしれないから」「熱が出たから」「咳が出るから」「鼻水が出るから」「食欲がないから」「吐いたから」「下痢したから」「風邪っぽいけど明日から旅行だからすぐ治したい」「頭が少し痛いから」「友達がインフルエンザだったから症状はないけど検査して」「家族が風疹だったけど症状はないけど診て」・・・と、すぐ病院へと考える人がかなり多くいます。
そうかと思うと、とにかく「病院へは行きたくない」「薬は飲みたくない」と、熱が4日以上続いても、痰が黄色くなっても、下痢が4日続いても、じっと耐えて自然に治るのを待っている人もいます。
また、「医者へは行きたくない、行くひまもない」と、薬剤師などに相談せずに、医薬品販売店でPOPや効能書きを見てOTC薬を選び、治るまで過ごす人もいます。最近ではネット販売も入るかな。
薬剤師などにしっかり相談している人は少数派です。
軽医療においては、ほとんどの場合、どの対応をしても結局治る時期になれば治るから問題ないと言えなくもないのですが、ちょっと考えてみてください。
すぐ医者にかかる人もそうでない人も、ほとんどの人は、自分の体に対して、自分で考え自分で治療する経験を積み勉強する機会を放棄しています。もう少し、自分の体をじっくり観察して、良く考えてください。(いつから、どこが、どんな具合で、どうゆうふうにしたらどうなるのか、何を服用したらどうなったのか、・・・? 本当に薬が効いたのか、薬はいらなかったのではないか、もっと良い方法があったのでは・・・?)そして、自分なりの考えに対して、薬剤師や医師のアドバイスを受けましょう。
そうゆうことの積み重ねが、自分流の養生法の確立や、薬剤師や医師の上手な利用につながるはずです。不必要な受診も減らせます。
<体調不良を感じた時の本来の考え方>
1.様子を見ても良くないですか?
(そのまま安静にしていたら収まってきませんか?)
(過去の経験や勉強から考えて、自然治癒する。薬はいらないと判断がつく! )
2.自分でできることがありませんか?
(自分でできる養生法や、家にある薬やOTC医薬品の使用は?)
(過去の経験や勉強から、○○すれば治る。××を服用すればよい。休息や生活の改善、食事や食品などの改善で対応可能)
3.信頼できる薬剤師などに相談して、自宅でできる方法を試しては?
(養生法や、一般用医薬品や[薬局医薬品]の使用は?)
(過去の経験や勉強から、医者にかかるまではないと判断がつくが、適切な対応方法や薬がわからない。そうだ、△▲薬局の薬剤師などに相談しよう!)
4.医療機関に受診すべきではないですか?
(過去の経験や勉強から、自宅で様子を見ていたり、自宅にある薬だけでは対応できないと判断。処方せん薬が必要または、入院治療まで必要かどうかの判断が必要。▽▼になったら受診しなさいと医師や薬剤師などに言われている。)
大切なのは、過去の経験を分析し、薬剤師や医師のアドバイスも考慮に入れて勉強し、自分流の判断基準を作ることです。ネット上の宣伝文句につられてはいけません。
医者などへの丸投げや、効能書きや宣伝文句だけを頼りのOTC薬選びだけでは、進歩しません。常に自分自身を冷静に観察分析しましょう。
そのために、薬局でのアドバイスや「一般用医薬品」や「薬局医薬品」を上手に利用し、結果的に自分で対応可能な範囲を広げましょう。
購入できる薬局医薬品
<処方せん薬以外の薬局医薬品は、条件をクリアすれば購入できます。>
薬局で扱っている医薬品は、以下の2分類があります。
1.一般用医薬品
第1類医薬品、第②類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品
{不特定多数の一般消費者向けの医薬品}
2.薬局医薬品
医療用医薬品(処方せん薬&非処方せん薬)、薬局製剤医薬品
{特定の消費者向けの医薬品;受診した患者や個別に相談した特定の人向けの医薬品}
このうち、一般用医薬品は、元々、広く一般消費者に販売する目的で製造されているので、基本的に、薬局店頭に並んでいます。
しかし、薬局医薬品は、不特定多数の一般消費者ではなく、特定の患者又は特定の消費者に、処方または販売されることを前提に作られています。従って、たいていは調剤室の中などに保管されています。
原則として、医療用医薬品は、医師の処方のもとに特定の患者さんのために調剤されますし、薬局製剤医薬品は、薬局での個別の相談のもとに、薬剤師が特定の人のために必要と判断し販売されます。
さて医療用医薬品のうち、「処方せん薬」は文字通り医師の処方せんが無ければ販売できない薬ですが、「非処方せん薬」は、薬局製剤医薬品と同程度の規制条件をクリアし、薬剤師がその必要性を認めれば、必要最少限の販売が許されています。(条件:医師の治療を妨げない、相談指導の記録は残す、薬品の使用上の注意文書を渡し必要な指導をする、必要最小限の量を販売、等々・・・。)
つまり、処方せん調剤しかやっていないような、所謂「調剤薬局」でも、時と場合によっては非処方せん薬なら購入できるということです。
お薬手帳を持参して、相談してみましょう。
「急ぎ」の麻薬処方せんは、処方医の近くの薬局で
・麻薬小売業の許可を受けている薬局しか、麻薬処方せんの調剤はできません。
・麻薬の流通にも規制があり、卸から薬局へは、基本的に月曜日から金曜日の昼間しか納品できません。
・麻薬の種類が増えてきたため、麻薬小売業の免許を持っていても、それぞれの薬局で持っている麻薬の種類は限られています。ほとんどの薬局では、麻薬は1~2種を少量しか持っていません。
・麻薬をよく処方する医療機関の近隣の薬局は、その医療機関で使う麻薬は在庫している可能性が高いと言えます。
以上の理由で、麻薬処方せんを受け取り、「すぐ薬が欲しい方」は、処方された病院の近くの薬局で調剤してもらうしかありません。特に、金曜日の午後の処方の場合は、かかりつけ薬局に在庫が無い場合がほとんどなので、病院近くが安心です。
翌日以降(ただし土日祝日以外)でよい場合は、取り寄せになる可能性も覚悟であれば、かかりつけ薬局で調剤してもらうことも可能です。
どちらを選ぶかは、患者さんの自由なので、上記の実態を考慮に入れた上で、病院近くの薬局か、かかりつけ薬局かを選択してください。
お薬手帳の上手な利用法
毎回、「持ってくるの、忘れた」と言ってお薬手帳用のシールだけもらっていく人が多いと思います。
持って来ていても、ただ提出して「シールを貼ってもらうだけ」と思いこんでいる人も多いと思います。こういう人は、A薬局用、B薬局用というように何冊も持っていることが多いですね。そのうちに面倒になって忘れてくるようになります。そこまでいかなくても、ただ言われたから提出し、シールを貼ってもらうだけという受け身の方が多くいます。特に高齢者では・・・・。
お薬手帳を有効活用しましょう。
お薬手帳にはさまざまな活用法があり、有効活用することで積極的に治療に参加するきっかけになり、お薬に対する理解も深まります。
お薬手帳をお持ちの方も、そうでない方もお薬手帳の使い方を知っていただき、より良い治療のためにもお薬手帳を活用していただきたいと思います。
●お薬手帳とは?
処方されたお薬の名前や飲む量、回数などの記録を残すための手帳です。高齢者の方は行政からもらう健康手帳をお薬手帳として用いてもいいです。現在では、調剤薬局等でシールを貼り付けていく形式が主流となっています。シールには、「何月何日 どこの医療機関から 何の薬が どのような服用量と服用方法で、何日間処方されたか」が記載されています。複数の医療機関を受診する時や、転居した時など、『お薬手帳』を見せるだけで、あなたお薬のことをわかってもらえます。その他に・旅行する時・薬局で薬を購入する時・転居して、新しい医療機関を受診する時・休日診療所や救急病院を受診する時・災害にあった時、こんな時にも役にたつのが『お薬手帳』です。
まず、お薬手帳の記録から薬の飲み合わせや副作用のチェックをしてもらいます。大切なのは、複数の医療機関にかかっていてもお薬手帳は『一人一冊』にすること。何冊も持っていては、飲み合わせのチェックがしにくくなってしまいます。
●いつ見せたらいいの?
病院や医院、歯科医院、薬局に行く時には、受付で提出し、医師または薬剤師に毎回必ず見せるようにしてください。
医師・薬剤師はお薬手帳の情報から、お薬の飲み合わせや副作用の記録をチェックし、その人に合ったお薬を選びます。そのため、ドラッグストアなどで市販のくすりを買う時も薬剤師などに見せるようにしましょう。
急に具合が悪くなった時や災害時、現在飲んでいるお薬のことを正確に伝えるにはお薬手帳が大変役に立ちます。いつでもどこでも使えるよう常に持ち歩きましょう。
●毎回同じお薬だから必要ないのでは?
「毎回同じ病院の同じ先生から同じお薬しか出してもらってないし、毎日きちんと飲んでいるからいらないのでは?」と思われる方も多いのではないのでしょうか。同じお薬であっても、急に調子が悪くなったときや入院したときに、自分が飲んでいるお薬の名前やいつから飲み続けているかを正確に伝えられるほど覚えていることは難しいでしょう。
そんなときにも、お薬手帳が役立つのです。旅行先にいつものお薬を持っていくのを忘れたときでも、お薬手帳を見せればいつもと同じお薬を処方してもらうことができます。
また、年に1~2度しか医療機関にかからない方でも、副作用の情報も記載していますので、お薬手帳を持っていれば副作用の防止に大変役立ちます。安全に使用できた薬の記録にもなりますし・・・。
《もっと有効に使うために…》
お薬手帳の使い方は自由です。自分でも書き込んで、もっともっと有効に使っていきましょう!
①お薬手帳に書いていただきたい基本情報
住所・氏名・生年月日・血液型に加えて、アレルギー(お薬に対するもの、食物や花粉症などすべて)や副作用(どのお薬でいつどのような症状が出たか)を記入しておきましょう。
②常備薬や健康食品など
普段、自分で購入して飲んでいる胃薬・便秘薬・解熱鎮痛薬などがあれば記入してください。また、健康食品(サプリメントなど)もお薬との飲み合わせにかかわってくるため、記入しておきましょう。
③変化を記録しましょう
お薬を飲んだときの病状の変化をその都度記録しておきましょう。
例えば、そのお薬を飲んだ後、よく効いた・あまり効かなかった・眠くなった・のどが渇いた等、気づいたことを書くようにしましょう。
また、お薬を飲んで湿疹がでた等、合わないと感じるようなことがあった場合、体調不良のためではなく、副作用の可能性もあるため忘れずに記入してください。
④お薬についてわからないこと、困っていること
「飲み忘れてしまった場合はいつ飲めばいいんだろう?」「昼食の時間が不規則で、お昼のお薬は飲み忘れることが多いから、朝と夕だけにはならないかな?」など、お薬についてわからないことや困っていることをメモしておきましょう。次に病院や薬局に行ったときに聞こうと思っていても、つい聞き忘れてしまいがちです。お薬手帳に書いていれば、見せた際に読んだ医師や薬剤師が質問に答えてくれます。
⑤医師、歯科医師に聞いておきたいこと
「お薬手帳」という名前ですが、医療機関にかかるときには医師、歯科医師に見てもらうものです。お薬に関係することではない事でも、聞いておきたい事があれば、記入しましょう。「先生に聞きたいけど、いつも緊張して言い出せないな…」という人でも、お薬手帳に記入しておきお薬の記録と一緒に見せれば質問することができます。
これらは有効に活用していただくための一例です。
書き方・使い方は自由ですので、自分流にアレンジし、より良い治療につなげていきましょう!
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おくすり手帳 5つの「い」いこと~あなたのお薬手帳、活用していますか?(愛知県薬剤師会より)
い 医療機関にかかる時は必ず持って行きましょう
薬の重複やよくない飲み合わせを未然に防止できます。
同じ薬による副作用の再発を防止できます。
薬の使用の記録があることで、より安全に薬を使用することができます。
い 言いたい事や伝えたい事を書いておきましょう
体調の変化や気になったこと、医師や薬剤師に相談したいことを書いておきましょう。
い 一般用医薬品(OTC医薬品、大衆薬)・健康食品も記録して
思いがけない、よくない組み合わせ・食べ合わせが見つかることがあります。
い いつも携帯・いつも同じ場所に保管して
旅行先で病気になった時や災害時に避難した時、救急のときなど、お薬手帳があれば、あなたが飲んでいる薬を正確に伝えられます。
ご家族にも、あなたがお薬手帳を持っていることを知らせておきましょう。
い 一冊にまとめましょう
飲んでいるすべての薬を「1冊で」記録することが大切です。病院ごとや薬局ごとに、別々のお薬手帳を作らないようにしましょう。
処方せんに記載されている薬が無い時
処方せんを薬局に提出した段階で、その薬局で調剤してもらうという申し込みの意思表示をしたとみなされます。
しかし、処方せんに記載されている薬が、処方せんを持ち込んだ薬局に在庫されていない時や数が足りない時が必ずあります。
そういう時、備蓄している別の薬局を知っている場合は、そちらに行くか、後でもうう一回最初の薬局に来るか決め、別の薬局へ行く場合は、処方せんを返してもらいます。
次に、どこの薬局で備蓄されているかわからない時。(多くはこちらになります。)
当薬局に来る人たちの中で、入ってくるなり「この薬ありますか?」と言いながら処方せんを提出し、あるとわかると「やっと見つけた。」という人たちが少なからずあります。(薬が無いこともよくありますが・・・。)数軒回った後の人がこのような発言をします。
自分だけで探すのは大変です。薬局を利用しましょう。
最初に入った薬局で処方薬が無かった場合、「どこに行けばありそうですか?」と、そこで聞いてみてください。
薬局薬剤師は、近隣の他の薬局でどういった薬が出ているか、ある程度把握しています。ありそうな薬局を紹介してくれることが多いと思います。
浜北区の薬局では、近隣の薬局に連絡を取って、在庫を確認してから他の薬局を紹介することが多いです。ただし、土曜の午後や日曜祝日は、営業している薬局が少ないので、レアな薬の処方せんはできるだけ平日又は土曜の午前に薬局へ持ち込みましょう。
数が足りない場合は、後でもう一回その薬局へ行くか、行く時間がない場合は、配達か郵送を「お願い」すれば、解決することが多いです。
新型コロナ?インフルエンザ?風邪?
令和2年11月現在
新型コロナ感染症が世界的に猛威を振るっています。
ただ、今のところ日本では、この感染症の致死率は、幸いなことに当初予想されていたものよりかなり低いようです。
この感染症に関しての個人個人の対応は、まず予防、次に自己治療(病院にかかる前)、そして病院にかかるべき段階、病院にかかったあと入院と隔離施設への入所の段階、最後に重症になり集中治療室にはいる段階と5段階になります。
報道や行政からの情報では、この5段階のうち、予防としては、3密を避ける、マスク着用、手指消毒、環境の消毒とやかましく言われています。疲れをためない、睡眠を十分とるなども少しは言われています。
予防と受診の中間での自己治療。つまり漢方でいう「未病」の段階(病院にかかる前の段階、自分で何か体の変調を感じた段階)から初期の症状が出た時に、自分ができることの指導説明がほとんど抜けています。
その後の、病院への受診、PCR検査風景や医療提供体制のひっ迫などは、事細かに報道されています。
これは、行政の発表や医療機関の状態を、報道が追っかけているからであって、仕方ない側面もあります。しかし、これでは、個人個人は不安をあおられるだけで、予防の次の自己治療の段階(未病の段階、病院にかかるかどうか判断する前の段階)でどうしたらよいかが、全くわかりません。結局パニックになって、どこもかしこも体温測定。平熱が高くても低くても37.5℃を問題視し、37.5℃の発熱があれば全員が医療機関に行かせられ、意味もなくPCR検査を要求する風潮が助長されています。(PCR検査は非感染の証明にはならないというのに)結果的に、医療が疲弊していきます。
こういう時に、報道で行政の責任者が「イソジンうがいが良いらしい!」などと単一の商品だけをとりあげて言ったら、イソジンうがいが市場からなくなってしまうことがおきるのです。
新型コロナもインフルエンザも普通の風邪も、一般的には、最初の1~2日では病院へ行っても区別がつかないものです。あわてて病院へ駆け込む必要はありません。大丈夫です。自然治癒するまでの、余裕は十分あります。病院へ行く前に、ジタバタしてみましょう。多くの場合、3日目頃には症状は軽くなります。そうなったらほとんど大丈夫です。3日目以降も、ひどくなっていったら受診すればよいのです。
最初の1~2日(極端な場合体調の変化を感じて数時間)が、一番大切です。
その段階では、病院へ行っても、検査をしても何もわからないので、長い時間待たされた後、とりあえずと言って、解熱鎮痛剤と消炎剤が処方される程度です。
からだの声をよく聞きましょう。この段階(最初の1~2日)は、風邪の引き始めの対応を知っていれば問題ありません。風邪の引き始めでは、漢方薬の方が優れていることが多いのです。(ただし、個人個人の状態状況によって薬は変わります。早い時は、1時間たったら、漢方的な証が違っているなんてことも、・・・。)
何もせず、おいしいものを食べて夜ゆっくり眠ればよいのか、
温めるべきか、さますべきか、を考えましょう。
わからない時は、まず温めてみましょう。
薬を使おうと思ったら、薬剤師に相談しましょう。
普段から、風邪の治療を試行錯誤していれば、10年もたてば、自分の風邪に関しては、下手な薬剤師よりはうまく治る道が見えてくるはずです。
新型コロナだろうが、インフルエンザだろうが、風邪だろうが、初期の治療は同じです。その、初期治療の良しあしが、その後の経過を左右します。
以上、薬局利用の達人の繰り返しでした。