受動喫煙でも乳がんのリスクが上がる

閉経後の浸潤性乳がんの発生リスクと能動的および受動的喫煙との関係を調べたレポートがBMJにありました(http://www.bmj.com/content/342/bmj.d1016)。

■方法■
かつてNIHが主導で、1993年~1998年まで行われたWomen's Health Initiative(「女性の健康イニシアチブ」というのかな)に参加した50~79才までの女性を対象に調査。

一次評価項目は能動的喫煙および受動的喫煙(それぞれ自己申告)と浸潤性乳がんの発生。

■結果■
平均、10.3年のフォローアップで、3,520人浸潤性乳がんが見つけられました。

一度も喫煙したことない人に比べて、浸潤性乳がんのリスクはかつて喫煙したことがある人は9%アップし(ハザード比が1.09)、現在喫煙している人は16%アップしました(ハザード比が1.19)。特に、ヘビースモーカーまたは10代からの喫煙者は有意にリスクが上昇しました。

最も乳がんの発生リスクが高いのは50年以上喫煙をしている方たちで、非喫煙者と比較してハザード比が1.35、さらに受動喫煙も受けてない人と比較するとハザード比はさらに1.45になりました。


さらに禁煙しても20年は乳がんのリスクが高いままでした。

受動喫煙でも乳がんのリスクは上がりました。
・小児のときに10年以上受動喫煙を受けた
・大人になって家庭で20年以上受動喫煙を受けた。
・大人になって職場で10年以上受動喫煙を受けた
これらの場合は32%乳がんのリスクがが増えました(ハザード比が1,32)。ただ、低頻度の受動喫煙に対しては有意な差は認められず、かつ受動喫煙の用量依存性はありませんでした。

■まとめ■
喫煙は閉経後の浸潤性乳がんのリスクをあげることが分かりました。さらに、受動喫煙でも浸潤性乳がんのリスクを増すことも証明されました。

喫煙は肺がんだけでなく、乳がんのリスクも上げるんですね。さらに、受動喫煙も悪いですね。これは小児科に来るお母さんにも伝えてみたいです。